韓国メディアによると、済州島に長期滞在中だった女性が5月、宿泊施設を出た後に行方不明になった。その後、女性の交際相手から行方不明届が出され、担当した警察官は交際相手に対し、「連絡が取れた。電話で話したが居場所を知らせたくないと言っている」と伝えた。しかし、これは虚偽で、この警察官は女性の捜索を約2時間半で終結させた。女性は今月24日、遺体で発見された。この警察官は別の行方不明事件についても同様の方法で捜査を勝手に終わらせていた。警察官は職務放棄などの疑いで25日、逮捕された。
また、5月に光州で女子高校生が殺害された事件では、容疑者の父親の現職警察幹部が関与し、証拠隠滅が行われた。警察への信頼が失墜する事態となる中、行政安全部(部は省に相当)のユン・ホジュン長官は26日、警察庁幹部との緊急会議を開き、「国民の安全を担う行政安全部長官として警察官の不正行為を非常に重く受け止めており、警察指揮部と共に国民の皆さんに心からおわび申し上げる」と謝罪した。また、会議でユン長官は、警察幹部に対し、真相解明と行方不明事件の対応体制の見直しを指示した。通信社の聯合ニュースは「行政安全部長官が特定の問題をめぐって警察庁の幹部と緊急会議を開くのは異例だ」と指摘。「警察に対する国民の信頼が大きく損なわれる中、国の治安を担う行政安全部長官が自ら事態の収拾に乗り出した形だ」と伝えた。
韓国国会では先月31日、検察官による直接捜査の権限を廃止する改正刑事訴訟法が可決された。韓国メディアは「70年以上続いた検察による直接捜査の時代が終わる」などと伝えた。改正同法の柱は、一般の刑事事件では警察が捜査を担い、検察は起訴や公判に専念する、捜査権と起訴権の分離だ。警察の捜査の不備や疑問点を検察が補う補充捜査の権限を原則廃止とする。これまで捜査権、起訴権を握ってきた検察当局を「巨大な政治権力」と批判してきた左派にとって、その権限を抑制する検察改革は悲願だった。
一方、法改正により大半の捜査を警察が担うことになり、捜査権の独占と肥大化に懸念が出ている。
改正同法について李大統領は今月4日には「捜査と起訴の分離は、非正常な刑事司法システムを正常化する第一歩」と述べ、改正同法の成立を歓迎していた。しかし、済州行方不明事件の虚偽終結など、警察の捜査をめぐる問題が相次いでいることを受け、25日の閣議で李氏は、改正同法で「警察は今後、国家機関の中で最も大きな権力を行使することになりそうだ」とした上で、「大きな権限を伴う責任を十分に果たせるのか、疑念が生じる」と懸念を示した。李氏は首相室に対し、警察改革機関の新設を検討するよう指示した。また、与党「共に民主党」は警察改革推進団を発足させた。
こうした動きに、保守系の中央日報は前出の社説で、政府・与党が警察の捜査能力や組織内部の規律を予め検証したり、統制機能を設けたりしないまま改正同法を成立させておきながら、警察の不祥事が相次いでいる今になって警察改革を持ち出していることを批判。社説は「弱者が被害を受けるとの警告を無視して推進した立法の結果が、今、我々が目にしている警察のずさんな捜査だ」とした上で、政府・与党に対し、「準備不足の刑事司法制度改革がもたらした弊害を振り返り、検察の補完捜査権を復活させるなど、今からでも実質的な補完立法に動き出さなければならない」と主張した。
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