<W解説>関東大震災直後の朝鮮人虐殺、真相究明進むか
<W解説>関東大震災直後の朝鮮人虐殺、真相究明進むか
関東大震災の発生から今月1日、103年となった。震災直後には根拠のない流言が広がり、それを信じた軍や警察、住民ら「自警団」が、日本で生活していた朝鮮人や中国人を殺傷した。東京・墨田区の都立横綱町公園では同日、朝鮮人犠牲者の追悼式が開かれた。韓国では昨年12月、朝鮮人虐殺の真相究明などを図るための特別法案が賛成多数で可決した。先月31日には、法制定を推進した韓国の国会議員6人が来日し、同公園で献花した。日本の野党議員らとも国会内で懇談し、真相究明と犠牲者の名誉回復に向けて緊密に協力するとの内容の共同声明を発表した。一方、日本政府は「事実関係を把握することのできる記録が見当たらない」として調査や事実認定に消極的な立場だ。また、ネット上ではこの事件自体を否定するような書き込みもみられる。

関東大震災は1923年9月1日午前11時58分に発生。首都圏などが、現在の震度7や6強に相当する激しい揺れに襲われた。東京や神奈川を中心に11万棟近くの住宅が全壊した。また発生時間が昼時と重なったことから、同時多発的に火災が発生したことも被害をさらに拡大させた。火災で焼失した建物は21万2000棟を上回り、このうち住宅は44万7000戸に上る。死者・行方不明者は10万5000人を超えた。

地震そのものの被害だけでなく、災害時に飛び交ったデマが発端となり、犠牲になった人もいる。地震の混乱の中で、「朝鮮人が暴動を起こした」、「井戸に毒を入れた」などと流言が広がり、軍や警察のほか、住民で組織された自警団らが日本で生活していた朝鮮人や中国人を殺害する事件が起きた。

内閣府の中央防災会議は2009年、関東大震災の報告書の中で「官憲、被災者や周辺住民による殺傷行為が多数発生した」「朝鮮人が最も多かったが、中国人、内地人も少なからず被害にあった」などと記した。同会議はこの事件による犠牲者数を、震災による死者約10万5000人の「1~数%」と推計している。正確な犠牲者数は不明な上、この虐殺の事実そのものを疑問視したり否定したりする言説も広がっており、歴史の歪曲や風化が懸念されている。

日本政府が真相究明に向けた調査に消極的な中、韓国国会は昨年12月、「関東大震災朝鮮人犠牲事件の真相究明および犠牲者の名誉回復に関する特別法」を可決した。首相直属の委員会を設置し、最大6年間にわたり事件の真相究明を進める。また、被害者や遺族の名誉回復に向けた調査にも当たる。同法は今年12月に施行する。

先月31日、「関東大震災における朝鮮人虐殺犠牲者を追悼する韓国国会議員団」に所属する同国の国会議員6人が来日し、日本の野党の有志議員が昨年2月に発足させた「関東大震災朝鮮人虐殺を検証する有志議員の会」と懇談した。参加した議員たちは、研究者や地方自治体、市民団体などと連携し、事件の真相究明と歴史の継承に向けた取り組みを進めていくことを確認。共同声明を発表した。韓国紙のハンギョレによると、韓国与党「共に民主党」のイ・ヨンソン議員は「誰かを処罰したり断罪したりするのが目的ではなく、犠牲者と遺族の名誉を回復し、韓日間の不幸な歴史を生産し未来に向けて進んでいこうということだ」と述べた。また、立憲民主党の杉尾秀哉議員は「歴史の真実を究明し、日本政府にこれを認めるよう求め、歴史修正主義を止めなければならない」と強調した。

今月1日、事件で犠牲になった朝鮮人らを追悼する式典が都立横綱町公園で開かれた。日朝協会都連合会などでつくる実行委員会が主催した。読経の後、参列者が追悼碑に献花した。実行委では毎年、小池百合子知事に追悼文の送付を求めているが、小池氏は「(都慰霊協会主催の)大法要で全ての方たちに対して慰霊を行っている」として2017年から見送っており、今年で10年連続の不送付となった。東京新聞によると、宮川泰彦実行委員長は式典で「悲惨な歴史的事実は世を超えて語り継いでいくこと、それは今を生きる私たちの責務」とあいさつした。
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