北朝鮮の代表選手団が日本を訪れるのは2024年3月のサッカーワールドカップ(W杯)のアジア2次予選以来。第1陣として、11日に男子サッカーの代表選手約30人が関西空港に到着した。朝日新聞は17日掲載の記事で「北朝鮮がスポーツの国際大会に選手団を派遣する背景には、好成績を収めることで国威発揚を図り、体制を結束させる意図や、国際社会でのイメージ向上といった狙いがあると韓国の専門家らは指摘する」と解説した。第一弾の選手たちが11日に関西空港に到着し、ロビーから姿を現した際には、朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)の関係者らが出迎えた。これに選手たちは笑顔で手を振るなどして応えた。
日本政府は核・ミサイルの開発を進める北朝鮮に対する独自の制裁として、北朝鮮籍の入国を認めていないが、木原稔官房長官は11日の記者会見で「大会の主催者である『アジア・オリンピック評議会』の検証で、開催国への訪問を拒否されない旨の規定がある。また、スポーツを通じた国際交流の促進という特殊性を有することなどを踏まえ、過去の類似事例も参考に、例外的に入国を認める特別な事情があると判断した」と説明した。
17日には北朝鮮のスポーツ行政のトップ、キム・イルグク(金日国)体育相が来日した。北朝鮮の現職閣僚の訪日としては、金氏の前回の訪日以来約8年ぶり。金氏が愛知県常滑市の中部国際空港に到着した際の様子について、18日付の韓国紙・朝鮮日報は「迎えに来た朝鮮総連の関係者らと短い挨拶を交わすと、すぐに空港の外へ立ち去った。空港で待機していた韓国と日本の取材陣には目もくれず、虚空を見つめながら瞬く間に外に出た。空港で簡易記者会見を行うと伝えられていたが、急きょ計画を変更したらしく、固く口を閉ざした」と伝えた。一方、同紙は「彼を追って空港ターミナルの外に出ると雰囲気が一変した」とし、「『朝鮮民主主義人民共和国選手団を熱烈に歓迎します』と書かれた横断幕が掲げられており、総連系の大学生約20人と韓服(チマチョゴリ)を着た女性たちが人共旗(北朝鮮の国旗)を振っていた。万歳三唱をする人もいた。これを見た金体育相は明るい表情で歓迎団に向かって『お会いできてうれしいです』とあいさつし、関係者らと抱き合った」と伝えた。
大会のサッカー女子1次リーグで、北朝鮮は14日、バングラデシュを10対0で下した。21日には北朝鮮が静岡県袋井市の競技場で韓国と対戦した。北朝鮮の応援席には朝鮮大学校(東京)の学生約160人をはじめ、在日コリアンらが多数集まり熱い声援を送った。21日付の中日新聞は「ハーフタイムには、北朝鮮側サポーターが韓国側の席を訪れ、互いにエールを送って一緒に写真を撮る場面も見られた」と伝えた。試合は1対1の引き分けとなった。北朝鮮はF組1位で決勝トーナメント進出を決めた。北朝鮮の女子サッカーは2023年の杭州アジア大会で銀メダル、今年5月のアジア・チャンピオンズリーグで優勝するなど、アジアトップクラスの実力がある。
北朝鮮の朝鮮中央通信と労働新聞は22日、北朝鮮代表の準々決勝進出を伝えた。北朝鮮メディアが今大会について伝えるのはこれが初めて。ただ、21日の韓国との対戦については触れなかった。
かつては2018年のジャカルタ・アジア大会の開会式で南北合同入場行進が実現したこともあったが、南北関係が近年悪化しており、北朝鮮側は今大会で韓国との試合に特別な意味を持たせたり、政治的に解釈されたりすることを警戒していることがうかがえる。前述した21日の試合後の記者会見でも、サッカー女子北朝鮮代表のパク・ソンジン監督は「韓国のシン・サンウ監督と握手をしたのか」などといった海外メディアからの質問に「おかしな質問だ。われわれはサッカーをしただけ」と一蹴した。
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