<W解説>北朝鮮、朝鮮労働党規約にも「二つの国家論」反映=改正規約の全文が公開
<W解説>北朝鮮、朝鮮労働党規約にも「二つの国家論」反映=改正規約の全文が公開
北朝鮮が韓国との統一を放棄し、別の国と位置付ける「二つの国家論」が、北朝鮮で事実上、憲法より上位の統治規範である朝鮮労働党の党規約に反映されていたとこのほど報じられた。キム・ジョンウン(金正恩)党総書記は2023年末、南北統一を放棄し、韓国を敵国と位置付けると表明。今年3月に改正した憲法では、旧憲法(23年9月改正)の序文や本文にあった南北統一の概念が全て削除された。今回、党規約でも「統一」に関する記述が削除されたことが韓国政府系のシンクタンク、国家安保戦略研究院が今月3日に公開した同党の党規約の全文から明らかになった。韓国紙の中央日報は「北朝鮮は金委員長(総書記)の指示により2024年6月、党規約に『二国家』路線を反映して対韓国・統一関連の文言を削除したが、今年2月の第9回党大会で改正した内容を盛り込んだ党規約全文が公開されたのは今回が初めてだ」と伝えた。

南北関係をめぐっては、ユン・ソギョル(尹錫悦)前政権が日本や米国と連携して北朝鮮に圧力をかけ、非核化を迫る政策を推し進めて以降、対決ムードが鮮明になった。こうした中、2023年7月、金氏の妹のキム・ヨジョン(金与正)朝鮮労働党副部長(現総務部長)が韓国について「大韓民国」と表現。北朝鮮の対韓国路線が転換したのではと注目が集まった。それまで北朝鮮では公式文書やメディア報道で、韓国のことを「南朝鮮」と表現してきた。この変化に、韓国メディアは当時、「北朝鮮が韓国を『別の国家』とする立場を示している」などと分析した。

同年12月末、金総書記は朝鮮労働党中央委員会総会で、韓国との関係について言及し、「南北関係はもはや同族関係ではなく、敵対的な二つの国家関係、戦争中の二つの交戦国関係に完全に固着した」と述べ、「敵対的2国家論」を打ち出した。

その後、金氏は24年1月の最高人民会議(国会に相当)で、「今日、80年間の北南関係史に終止符を打つ」と宣言。「憲法上の『自主、平和統一、民族大団結』という表現が削除されなければならない」と述べ、韓国について「第1の敵対国、不変の主敵」と憲法に明記する必要性を強調した。

そして今年3月、最高人民会議では憲法改正が議題になった。改正された憲法では、旧憲法(23年9月改正)の序文や本文にあった「祖国統一」など、南北統一の概念が全て削除された。旧憲法では「社会主義の完全な勝利を成し遂げ、自主、平和統一、民族大団結の原則で祖国統一を実現するために闘争する」と明記されていた。また、新憲法には領土条項が新設され、第2条には「朝鮮民主主義人民共和国の領域は、北側で中華人民共和国、ロシア連邦、南側で大韓民国と接する領土と、それに基づいて設定された領海及び領空を含む」と明記。韓国は領域外の別の国であるとの認識を鮮明にしている。

北朝鮮では3月の最高人民会議に先立ち、2月には朝鮮労働党の党大会が開かれ、党規約の改正が議題になったと報じられていたが、詳細は明らかでなかった。しかし、韓国の国家安保戦略研究院は今月3日、改正された党規約の全文を公開。韓国紙の中央日報によると、改正党規約では、序文にあった「民族主義の価値、民族大団結の価値を高く掲げ、祖国の統一を早め、民族の共同繁栄を実現するために闘争する」との内容などが削除されているという。通信社の聯合ニュースは「統一に関連した部分を一掃したことで、『米帝の侵略武力を撤去』や『朝鮮に対する米国の政治軍事的支配』など、在韓米軍の撤退や韓国からの外勢排除に関する記述も全て消え、南北関係が完全に断絶したことを改めて示した」と解説した。

また、改正された党規約からは、金総書記の祖父、故・キム・イルソン(金日成)主席や、父、故・キム・ジョンイル(金正日)委員長の業績をたたえた文言も削除されたほか、金総書記の権限が一層強化されたことがうかがえる。

国家安保戦略研究院は、北朝鮮は党大会を機に統治規範の再編を一段落させたと分析。「(金総書記の権限を強化し、統一路線を完全に廃棄した新たな体制フェーズ)『金正恩時代2.0』の統治規範が制度化された」との見方を示した。
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