金文洙、国民の力大統領選候補
金文洙、国民の力大統領選候補
来月3日投開票の韓国の大統領選は、本日12日から選挙戦が始まった。最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)前代表や、与党「国民の力」のキム・ムンス前雇用労働相ら7人が立候補している。各世論調査では、次期大統領にふさわしい人物として李氏が支持率トップを独走する中、劣勢からスタートする「国民の力」は公認候補の一本化をめぐり混乱。党執行部がキム氏の公認を一時取り消し、ハン・ドクス前首相への候補交代を試みたものの、交代案が党員投票で否決され、キム氏が公認候補に復活するという異例の経緯をたどった。韓国メディアのイーデイリーは「キム候補が再び候補の座を取り戻したが、内部で摩擦を起こしたという後遺症を収拾できるかどうかは不透明だ」と伝えた。

大統領選は、先月、ユン・ソギョル(尹錫悦)前大統領が罷免されたことを受け実施される。11日に候補者登録が締め切られ、7人が立候補した。今月8日に発表された世論調査「全国指標調査」では、李氏が次期大統領にふさわしい人物として支持率43%で先行。キム氏(12%)らを引き離している。

「国民の力」は今月3日、同党の公認候補にキム氏を選出した。しかし、李氏に対抗するため、候補者の一本化を迫られた。こうした中、党執行部は。中道層からの支持が見込める、無所属で出馬を表明していたハン氏に一本化しようとした。キム氏とハン氏は9日に実務交渉を行ったものの決裂。これを受け、党執行部はキム氏の公認を取り消し、ハン氏に候補を差し替える手続きを進めた。強制的な公認候補のすげ替えにキム氏は反発し、「反民主的なことが起きた。わが党の民主主義は死んだ」と憤りをあらわにした。その上で、「この事態をもたらした責任者には必ず法的・政治的責任を問う」と表明し、法廷闘争を示唆した。

党執行部の強引なやり方に、党内からも批判の声が上がる中、同党は10日、公認候補の交代の賛否を問う投票を実施。その結果、反対の意見が賛成を上回り、交代は否決された。候補交代は白紙に戻り、キム氏が候補の資格を回復した。

キム氏は11日に中央選挙管理委員会で大統領選候補登録を行った。キム氏は登録後、「今回の大統領選挙は韓国の危機を克服し、国民の幸せのために努力できる重要な大統領を選ぶ選挙だ」とした上で、「必ず当選し、韓国を偉大な国にすることに最善を尽くす」と述べた。

一方、ハン氏は11日、記者会見し、「大統領選への出馬を前後して私に送ってくださった応援と叱責を重く受け止める」とした上で、「全てを謙虚に受け入れ、承服する」と述べた。また、キム氏を当選に導くため、できる限りの支援を行う考えを示した。

候補交代を主導した、党臨時執行部トップのクォン・ヨンセ非常対策委員長は責任を取って辞任した。クォン氏は「競争力のある候補を出すための決断だったが、党員の同意を得られなかった」とし、「手続きや過程の混乱で党員と国民に心配をかけたことを謝罪する」と述べた。

ユン前大統領も11日、自身のSNSに一連の動きに対してコメントし、「我々はもう団結しなければならない」と訴えた。

「国民の力」公認候補のキム氏は保守の伝統地盤の南東部キョンサンナムド(慶尚南道)出身。1970~80年代は労働運動や民主化運動に参加した。国会議員を1996年~2006年まで3期、ソウル近郊のキョンギド(京畿道)知事を06年~14年まで2期務めた。尹政権で雇用労働相に任命された。一方、極端な発言でこれまで物議を醸すこともあった。

韓国大統領選は、本日12日から選挙運動がスタートした。投開票日の来月3日まで3週間余りの選挙戦が展開される。「共に民主党」公認の李候補が支持率で独走する中、「国民の力」公認のキム候補は準備もままならぬ間に選挙戦に突入することになった。通信社の聯合ニュースは「国民の力」が置かれている状況について「候補交代をめぐり混乱を露呈し、選挙への影響は不可避とみられる」と伝えている。
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