ブルゴーニュの中心都市ディジョンの西隣りにある街タラン。(Talant)
最寄りの国鉄ディジョン駅からこの町に行く道は長くなだらかな上り坂です。
丘の上の、キール湖を見下ろせるちょっとしたパノラマスポットに続く小道にはひっそりと「ウード三世の散歩道」という表示が見えます。
そしてその下にはさらに小さく「街の創始者」という説明書きがあります。
かつてヨーロッパで大きな勢力をふるっていた「ブルゴーニュ公」。
彼らの住まいの1つとして建てられた宮殿は現在半分がディジョン市役所、半分が市立美術館として利用されています。
そんなブルゴーニュ公となったうちの一人がウード三世でした。
彼は在位中の1208年、このタランの地に城塞を造り始めます。
その目的は、ディジョンの宮殿よりも安全な場所に自身の財宝や貴重品を収容する為だったとか。
そしてこの城塞の北に新しい街、タランを造ったのです。
多忙な中にもこの小道を歩き、眼下に広がる風景を見てウード三世はちょっとした安らぎを覚えていたのでしょうか。
城塞と同時期の十三世紀、パノラマスポットを見守るように建てられたノートルダム教会の鐘の音は大変重厚です。
冬の夕方、霧が立ち込め湿った空気の中で時を知らせるその音を聞くと何かが出てきそうです。
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