韓国でのAPEC首脳会議の開催は、2005年に南部のプサン(釜山)で開かれて以来、20年ぶり。慶州市の慶州ファベクコンベンションセンターで開催される。テーマは「持続可能な未来の構築」。優先課題として「連結」、「革新」、「繁栄」の3つを掲げ、人工知能(AI)分野での協力や、高齢社会への対応などを主な議題に取り上げる。韓国としてはAPEC首脳会議を成功させ、ユン・ソギョル(尹錫悦)前政権下での「非常戒厳」で揺らいだ国際的地位を回復させたい考えだ。
李大統領はAPEC首脳会議を機に米国や中国首脳とそれぞれ会談を行う。米中の首脳はいずれも国賓として韓国を訪れる。トランプ米大統領との会談は29日午後、中国の習国家主席とは11月1日に予定している。聯合ニュースは「李大統領は堅固な韓米同盟と韓米日の連携を基盤に中国との関係も敵対的にならないようバランスをとる『実用外交』を掲げるが、これが現実の国際社会の中でどのように具体化できるかが焦点となる」と指摘した。また、韓国紙の東亜日報は、「アジアを中心に高まる大国間の覇権争いと、米国発の関税戦争によって一段と強まる自国優先主義の波の中で、世界の安全保障と通商秩序の分岐点となる外交戦が始まる」と伝えた上で、「韓米関税交渉の長期化や北朝鮮・中国・米国の接近という重い課題を抱える李在明外交も試練の場に立たされた」と指摘した。
李氏は高市首脳との日韓首脳会談も行う見通し。李氏は今月21日に高市氏が首相に就任した際、SNSを通じて祝意を表す中で、「APEC首脳会議が開催される慶州で首相に会い、建設的な意見交換を行うことを心より楽しみにしている」と述べていた。会談について、韓国大統領室のウィ・ソンラク国家安保室長は24日、「日程はまだ確定していないが、実務レベルで調整が行われている」と述べた。また、ウィ氏は「日本の新しい首相と早期に対面で交流し、前向きな韓日関係の流れを維持したい」とも語った。
一方、高市氏は24日夜、ウクライナを支援する「有志国連合」の首脳会議にオンラインで参加し、実質的な「外交デビュー」を果たした。26日にはASEAN10か国と正式加盟予定の東ティモールによる「日ASEAN首脳会議」に出席したほか、議長国マレーシアなど数か国の首脳との個別会談を行った。この後も、28日には来日するトランプ米大統領との首脳会談、30日には訪韓し、APEC首脳会議に出席と外交日程が続く。高市氏は総務相や経済安全保障担当相、自民党政調会長などを歴任したが、外交分野では、政府・党の主要な役職を経験しておらず、外交手腕は未知数と指摘されている。就任早々、重要日程が目白押しの外交日程をこなすことになり、「高市外交」に注目が集まっている。
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