驚き!「日本三大まんじゅう」の背景にある老舗大国日本

日本三大まんじゅうとは、東京・塩瀬総本家の「志ほせ饅頭」(1349年創業)、岡山県・大手饅頭伊部屋の「大手まんぢゅう」(1837年創業)、福島県・柏屋の「柏屋薄皮饅頭」(1852年創業)とされています。

いずれも100年以上の歴史がある老舗ですが、そもそも日本は創業100年を超える企業数が世界一の老舗大国だって、ご存知でしたでしょうか?

実は「老舗」は翻訳不可能なのだとか。日本固有の「Shinise」文化、なんと毎年1,000社以上の企業が創業100周年を迎えます。帝国データバンクの「老舗企業」実態調査(2019年)によると、2019年中に業歴100年となる企業は、全国に3万3,259社存在するそうです。驚きですよね。

今回は、10月20日「老舗の日」に開催されたイベント「老舗フェスティバル2022」での<まんじゅう文化とイノベーションについて>パネルディスカッションをもとに、日本三大まんじゅうについて詳しくご紹介したいと思います!

左から薄皮饅頭柏屋 本名氏/大手饅頭伊部屋 大岸氏/塩瀬総本家 川島氏

【東京】塩瀬総本家の「志ほせ饅頭」|1349年創業

©︎塩瀬総本家

2022年で創業673年を迎える塩瀬総本家。3社の中でも圧倒的に長い歴史を持っています。後村上天皇に献上した際は、食べたことがないおいしさだと喜ばれ宮女(奥さん)を賜り、徳川家康からは「俺以外は食わしちゃいけない」と言われ江戸について行くことになり、と塩瀬のエピソードもまた歴史とスケールの大きさを感じるものです。

そもそも、まんじゅうは中国から伝わってきたもの。三国志でおなじみの諸葛孔明(しょかつこうめい)が、戦の際、荒れ狂う川を鎮めるために発明したと言われています。そしてそのとき、まんじゅうの餡は小豆餡ではなく、肉まんじゅうだったんです。

そのまんじゅうを、肉食が許されない僧侶のために小豆餡にして日本に伝え創業したのが、塩瀬総本家の始祖である林浄因(りんじょういん)氏です。

当時、日本で甘いものというと、干柿や栗の焼いたもの、お餅に小豆の呉汁をつけるお汁粉の元祖のようなものしかありませんでした。小豆餡まんじゅうは、画期的なお菓子として上流階級に大評判だったそう。

それから幾代か経て、大和芋の皮をむき、摩り下ろすところから始まる現代の塩瀬のまんじゅうにつながっていきます。塩瀬のまんじゅうは、織田信長、明智光秀、豊臣秀吉、徳川家康にも愛され、明治初年からは宮内省御用を勤めることになりました。

「老舗フェスティバル2022」では特別に、渋谷の老舗クラブ「The Room」のカフェ業態「The Room COFFEE & BAR」のロゴ入りコラボ饅頭が登場。上品な一口サイズ、甘さをおさえあっさりとした味わいはそのままに、斬新なデザインの饅頭に仕上がっていました。

志ほせ饅頭は、大和芋を使った皮も特徴。芋の香りを感じる、やわらかくもちっとした皮の食感は独特で、初めていただいたときは驚いたものです。今回改めて志ほせ饅頭をいただき、その飽きのこない味わいや、甘みと塩味の上品なバランスは、職人さんの長年の勘と腕のなせる技だと納得でした。

塩瀬総本家「志ほせ饅頭」

https://www.shiose.co.jp

【岡山県】大手饅頭伊部屋「大手まんぢゅう」|1837年創業

©︎大手饅頭伊部屋

岡山県の大手饅頭伊部屋は、創業185年。当時の備前藩主池田侯から特に寵愛を受け、お茶会の席には必ず愛用されてきました。

驚くほど皮が薄い「大手まんぢゅう」。しかしこの餡が透けて見えるほど薄い薄い皮にも、こだわりが詰まっているんです。

米処でもある岡山。その良質な備前米を材料に、まずは甘酒を造るそう。糀作りから始め、もち米などを加えながらじっくり日数をかけて、成熟した甘酒に仕上げていきます。その甘酒に小麦粉を混ぜ加え、発酵させて生地が作られるのです。

「大手まんぢゅう」をいただいたときまず感じるのは、とにかく餡のおいしさが際立っていること。北海道産小豆を特製の白双糖で練り上げているそうですが、皮に仕込まれた甘酒の豊潤な香りも、餡の引き立てに一役買っているのだなと感じました。

大手饅頭伊部屋「大手まんぢゅう」

https://www.ohtemanjyu.co.jp

【福島県】柏屋「柏屋薄皮饅頭」|1852年創業

©︎柏屋

柏屋は創業170年。初代本名善兵衛氏は、「病に薬がいるように、健やかな者に心のなごみがいる」との思いから、餡がたっぷりで皮の薄い饅頭を考案しました。

東北地方では当時、皮が薄くこしあんがたっぷり入った饅頭は革新的。砂糖が高価だったので、皮が厚くてあんがちょっと、という饅頭が多かったんですね。

そのおいしさが忘れられない、と奥州街道の名物となり、旅人はこの饅頭を食べたいあまりわざわざ遠回りして食べたと言います。

©︎柏屋

柏屋薄皮饅頭は、黒糖の香りとコク深い餡の甘みにとっぷりと浸かっていくような、まごころ感じるおいしさ。庶民にとっては「これぞまんじゅう」と言いたくなる、親しみやすさがあります。

柏屋「柏屋薄皮饅頭」

https://www.usukawa.co.jp

 

 


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