<W解説>ようやく決まった韓国・尹大統領の弾劾審判の宣告日=憲法裁の判断は?
<W解説>ようやく決まった韓国・尹大統領の弾劾審判の宣告日=憲法裁の判断は?
韓国の憲法裁判所による、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領の罷免の是非を判断する弾劾審判の決定が、今月4日午前11時に言い渡されることになった。宣告は当初、先月14日になされる可能性が高いとみられていたが持ち越され、一部、憲法裁への批判の声も上がっていた。尹氏が罷免されれば60日以内に大統領選が行われる。棄却か却下の場合には職務に復帰する。憲法裁周辺では、警察が関係者以外の通行を制限する区域を設けるなど、早くも厳戒態勢を敷いている。不測の事態に備え、当日は警察力を総動員する最高レベルの態勢を取るという。

尹氏は昨年12月、国内に向けて「非常戒厳」を宣言した。非常戒厳は韓国憲法が定める戒厳令の一種。戦時や事変などの非常事態で、軍事上、必要となる場合や公共の秩序を維持するために大統領が発令するものだ。

非常戒厳は早期に解かれたものの、韓国社会に混乱をきたし、現在も不安定な政治状況が続いている。「共に民主党」など野党は、尹氏が「憲法秩序の中断を図り、永続的な権力の奪取を企てる内乱未遂を犯した」などとして憲法違反を指摘し、尹氏の弾劾訴追案を国会に提出した。昨年12月、採決が行われ、賛成204票、反対85票で同案は可決した。これを受け、尹氏は職務停止となった。

同案の可決を受け、憲法裁が6か月以内に尹氏を罷免するか、復職させるかを決めることになった。罷免となった場合は、60日以内に大統領選挙が行われる。

憲法裁では1月から弁論が行われてきた。弾劾審判では、戒厳令の正当性が争点となり、国会訴追団側は、「非常戒厳」の宣言が、憲法77条が規定する「戦時・事変またはこれに準ずる国家非常事態」との要件を満たさず出されたことや、戒厳時に国会へ軍を動員し政治家らを逮捕しようとしたことなどが憲法違反だと主張した。一方、尹氏は審判に自ら出席し、「非常戒厳」の宣言は統治行為だったとして正当性を訴えた。

憲法裁では2月25日、尹氏も出廷して最終弁論が開かれた。尹氏は「非常戒厳」を出した目的について「亡国的な危機的状況を知らせ、憲法制定権力である主権者が出てくるよう訴えることだった」とし、その上で「目的を相当部分達成したと考えている」と述べた。一方、弾劾訴追した国会側を代表して出廷し、最終意見陳述を行った野党議員は「尹大統領は憲法を破壊し、国会を蹂躙(じゅうりん)しようとした。民主主義と国家の発展のために罷免しなければならない」と主張した。

尹氏の弾劾審判が結審し、尹氏の罷免の是非は憲法裁の判断に委ねられることとなった。憲法裁による宣告日について、韓国メディアの多くは当初、先月14日に行われる可能性が高いと報じてきた。宣告日については、市民の安全を確保する必要があるため、憲法裁は2~3日前に各機関に通知する。しかし、同日までにその通知すらなく、宣告は持ち越された。

先月14日の宣告が有力視されていたのは、過去に弾劾訴追されたノ・ムヒョン(盧武鉉)、パク・クネ(朴槿恵)両元大統領が、いずれも弾劾審判の最終弁論から約2週間後の金曜日が宣告日だったためだ。尹氏の弾劾審判は2月25日に結審。3月14日は結審から約2週間後の金曜日だった。

宣告が持ち越され、野党や弾劾賛成派の国民などからは批判の声が高まった。先月29日、ソウル市内では弾劾賛成派と反対派の双方による集会が開かれ、韓国紙のハンギョレによると、同紙の取材に応じた会社員の一人は「なぜこのように引き延ばしているのか分からない。本当にこのままでは弾劾が棄却されるのではないかと心配だし、ストレスがたまる」と話した。また、聯合ニュースは「憲法裁判所付近を警備する警察がバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥った。宣告は当初3月半ばと予想され、警察はこれに基づいて警備計画を推進してきた。だが、宣告日が一向に決まらないことで、疲労と予算不足の二重苦に見舞われている」と伝えた。

こうした中、憲法裁は1日、弾劾審判の決定を4日午前11時に言い渡すと通知した。尹氏について大統領職の罷免か、職務復帰かがようやく決まることになる。憲法裁は尹氏が非常戒厳を宣言・維持・解除した際、憲法や戒厳法などに違反したかどうかを判断する、違法行為が重大だと判断すれば弾劾を認め、そうでないと判断すれば棄却する。国会の弾劾裁判が違法要件を満たしていないと判断した場合は却下する。罷免の決定には裁判官8人中6人以上の賛成が必要となる。通信社・聯合ニュースが尹氏の弁護団の弁護士の話として伝えたところによると、決定の言い渡しに関し、当日、尹氏本人が憲法裁に赴くかどうかは未定という。

国民の関心が高いことから、当日は各放送局が特別番組を放送する。また、厳戒態勢が敷かれ、憲法裁から近いソウル地下鉄の安国駅の出入り口の一部は、早くも1日から閉鎖された。当日は全面閉鎖され、列車は始発から同駅には停車しない。また、警察は、全国から機動隊所属の警察官を動員し、警戒に当たる。既に憲法裁からの通路の一部区域は通行制限エリアに指定された。警察は当日にかけ、このエリアをさらに拡大する。

聯合によると、大統領室の関係者は宣告日の決定を受け、「落ち着いて憲法裁の決定を待つ」との立場を示した。与党「国民の力」のクォン・ソンドン院内代表は「どのような結論でも『国民の力』は受け入れる」と述べた。一方、最大野党「共に民主党」のパク・チャンデ院内代表は「今、この内乱状態を収拾し、終息させる最高の判決は、内乱首謀者・尹錫悦の罷免だけだ」と述べた。

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