30日(現地時間)、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「アマゾンが過去最大数のロボットを物流倉庫に配備した」と報じ、「その数は倉庫で働く人間の数に近い」と伝えた。報道によると、アマゾンの最新ロボット「ヴァルカン(Vulcan)」は、無数の棚から商品を選び取る触覚を備えており、単純なロボットではなく画像を認識し、経路を判断できるAIロボットだという。アマゾンはこの「ヴァルカン」の投入により、かつては倉庫ごとに年平均1000人以上採用していた規模を、昨年は670人にまで縮小させ、16年ぶりの最低水準となった。
AIの拡散が雇用市場を揺るがしている。アマゾンだけでなく、マイクロソフト(MS)、メタ、インテル、グーグルなどアメリカの主要ビッグテック企業でも大規模な人員削減の波が押し寄せている。生成AIであるChatGPTの登場以降、新入社員の職が約32%減少したという統計もある。AIがあらゆる職種の雇用を急速に代替しており、政府や企業が早急に対策を講じるべきだという指摘が出ている。
米国の解雇追跡サイト「Layoffs.fyi」によると、今年上半期に米国内のIT企業でレイオフを行った企業は150社、解雇された人数は6万3823人に達した。これは米IT業界全体の約1%に相当し、サムスン電子の全世界従業員約25万人の24%にあたる規模だ。
業界専門家らは、MSやメタ、インテル、グーグルなどのビッグテック企業でさらなる追加の人員削減が予想されており、今年上半期の解雇者数は最大8万人に達する可能性があると見ている。MSは5月に6000〜7000人を削減したのに続き、今月初めにも数千人を追加で削減する構造改革を進める予定だ。
AIによる雇用への影響はビッグテックだけにとどまらない。英国日刊紙「タイムズ」は求人サイト「Adzuna」のデータを引用し、ChatGPTが登場した2022年11月から今年5月までの間に、すべての求人職種において大卒・見習い・インターンなど「初級」職の数が31.9%減少したと報じた。初級職が全体の雇用に占める割合も、約29%から25%へと4ポイント減少した。特に小売部門では78.2%も減少し、次いで物流・倉庫・管理部門が続いた。ITや会計・金融などの初級職も半分以上が消失した。特に今年5月の初級職の求人は、前年同期比で4.2%減少しており、全体の求人が0.5%増加した傾向とは対照的な動きとなった。
社会全体に吹き荒れる構造改革の波は、AIの普及とともに労働市場の構造的変化を表している。昨年までは、AIインフラ投資に必要な資金を確保する目的での人員削減が主だったが、今年は実際にAIが雇用を代替し始めたことで、本格的な構造改革が進行しているという。
AIの導入が急速に進む中で、中間管理職や初級の事務職など、従来のホワイトカラー職から打撃を受けているという分析もある。かつては売上急増による企業の拡大と、それに伴う人材採用がいわゆる「成功方程式」とされていたが、最近では、大企業がAIによる業務自動化を通じた人件費削減と生産性向上を、経営者が優先的に考慮する時代に変わってきている。
AIによる雇用の地殻変動は、業種を問わず全方向的に進行している。世界最大の化粧品企業エスティ・ローダーは管理職の20%を解雇し、P&Gは非製造部門の人員を15%削減するとした。ゴールドマン・サックスも今年、AIプログラム「GS AIアシスタント」を導入し、文書要約、報告書の下書き作成、データ分析などの業務をAIに任せている。米国の主要投資銀行がAIツールの導入を拡大する中、今後5年間でウォール街の約20万の職が消失する可能性があると、ブルームバーグ・インテリジェンスは予測している。
OpenAIの競合企業「Anthropic」のダリオ・アモデイCEOは最近、米メディアAxiosとのインタビューで「AIはすべての初級事務職の半数を消滅させ、今後1~5年で失業率を10~20%まで引き上げる可能性がある」と述べたうえで、「AI企業が収益を上げるたびに3%の課税を行い、政府がその収益を再分配する方式が必要だ」と主張した。
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