以前、インドネシアのカレーをご紹介する記事の中で登場した「ロティチャナイ」が、「世界の美味しいパン50選」でトップの座に輝きました。
2022年、2023年と、2年連続の快挙です。
これは、世界の食文化・グルメサイト『テイスト・アトラス』が毎年行っている「テイスト・アトラス賞」の『世界のベスト・パン、トップ50』というカテゴリーです。
実際にノミネートされたのはマレーシア料理でしたが、「ロティチャナイ」はマレーシアだけのものではありません。
ここインドネシアでも人気のローカル料理なのです。




「ロティチャナイ」は、小麦粉で作ったパン生地を、まわしながら空気を入れて、平らに広げてつくったパンを指します。
「ロティ」はサンスクリット語が語源で、「パン」という意味。
インドやパキスタン、アフリカ諸国等で一般的に食されている全粒粉を使った無発酵パンを指す一般名詞で、インドやスリランカでお馴染みの「チャパティ」も「ロティ」です。
もともと南インド発祥とされており、イスラムやヒンズーの文化と共に広く大陸を伝ってマレーシアやインドネシア、シンガポール、タイなど東南アジアでも古くから一般に食されています。
インドネシアでは、特にスマトラ島の伝統料理として根付いています。

マレー語やインドネシア語で、「巻いた」という意味の「チャナイ」と合わせて、「ロティチャナイ」。
日本語にすると「巻き巻きパン」といったところでしょうか。




「ロティチャナイ」は平たい形で、基本的に、小麦粉を水で溶いて鉄板で焼きます。
主食のほか軽食や菓子として食されていて、カレーにつけたり卵やチーズ、肉や魚など具材をはさんだりして主食や軽食として食べられている他、バナナや練乳、はちみつやリンゴ等といった甘い具材や果物をはさんで、スイーツとしても食べられています。

小麦粉を溶いて鉄板で焼くという点で、日本のお好み焼きや韓国のチヂミ等と似ているといえるかもしれません。
身近でありながら、世界の食文化がつながっているのを知ってみると、なんともスケールの大きな感慨深い食べ物です。
材料も作り方もシンプルで、様々なメニューに展開しやすい上に美味しいことが、広い地域で長く愛される所以でしょう。


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