ロンドン北部の風力発電所
ロンドン北部の風力発電所

300年を振り返ってイギリスで大きな変化を遂げたのはエネルギーの生産方法ではないでしょうか。産業革命は石炭の時代でした。イギリス北部(スコットランドを含む)では炭鉱が数多くつくられました。炭鉱が作られる前は自然そのものが残っている場所でしたが、残念ながらその景色はこわされ、「炭鉱の町」が作られました。

もちろん、石炭採掘は産業の発展を促しました。さなざまな産業の工場が数多く建てられましたが、その当時は同時に公害も問題となりました。もともと美しかった景色も石炭を燃やすことによる「すす」により暗い印象になってしまったのです。



北イングランドの海岸沿いの風力発電所
北イングランドの海岸沿いの風力発電所



20世紀になって、大気汚染に対する法律が整備され、状況は改善していきました。1950年頃までには、エネルギー源が石炭から電力になったことも大きく影響しています。もちろん、電気の発電には化石燃料や原子力発電なども使われています。

ここにきて、エネルギー生産に変化が起こっています。イギリス政府が再生エネルギーの開発に力を入れているのです。5月などは気候がよいので、イギリスでは太陽光で国内の1/4のエネルギー発電が可能です。これは天然ガスの使用とほぼ同等になります。

とはいえ、皆さんもご存じかと思いますが、イギリスは雨が多く、また冬場は夜の時間がとても長い。ですから日本に比べて太陽光のメリットは少ないように思います。太陽光よりも風力が再生エネルギーとしてより重視されています。今では石炭発電よりも多くの電力を供給しています。

まだ原子力発電と天然ガスによる発電はあるものの、石炭はほとんど使われなくなりました。イギリスの炭鉱が閉鎖されてかなり経ちますので、当時の面影を示す建築物はほとんどなくなりました。

そのかわり、旅行者の皆さんは驚かれるのではないでしょうか。田舎のほうですと、イギリスではたくさんの風力発電が稼働しています。車で旅をすると、風力発電が整然と並んでいる景色に気が付くのではないでしょうか。この景色を「不自然だ」という人たちもいますが、石炭炭鉱よりもクリーンな印象が持たれるのではないでしょうか。

エネルギーの生産方法がイギリスでは景色に大いに影響を与えているということなのです。


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