<W解説>岸田首相が退任前に訪韓?共に関係構築を進めてきた韓国・尹大統領との会談は実現するか
<W解説>岸田首相が退任前に訪韓?共に関係構築を進めてきた韓国・尹大統領との会談は実現するか
岸田文雄首相が来月上旬にも韓国を訪問し、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領と会談する方向で検討に入ったと、このほど日本の主要各メディアが伝えたことについて、韓国大統領室は25日、「日本側と協議を進めている」と明らかにした。岸田首相は来月に予定される自民党総裁選への不出馬を表明しており、自らの退任前に尹大統領と会談し、安全保障分野をはじめとした協力関係の継続を確認したい考えだ。

今月14日に記者会見した岸田首相は、自民党は党派閥の政治資金問題などで世論の激しい逆風にさらされていることを踏まえ、「自民党が変わったことを示す第一歩は、私自身が総裁選に出馬しない、身を引くことだと判断し決断に至った」と総裁選不出馬の理由を説明した。その上で、自らの不出馬表明によって「けじめをつけ総裁選に向かっていきたい」と強調した。岸田首相は来月末の総裁任期満了をもって退任する。2021年10月4日に発足した岸田政権は約3年で幕を閉じる。

岸田首相による突然の党総裁選への不出馬表明は日本国内に衝撃を与えたが、当時、このニュースは韓国メディアも速報した。聯合ニュースは「岸田内閣の支持率が10~20%台に留まり、党内外から退陣圧力を受けてきた」と岸田首相が党総裁選不出馬を表明するに至るまでの背景を解説。今後の日韓関係については、外交関係者の話として「次期総理が誰でも大きく影響されない」と伝えた。一方、ニュース1は「関係改善の核心だった尹大統領と岸田総理の相性も失われることになり、日韓関係が再び冷え込む可能性がある」と報じた。また文化日報は「米国のバイデン大統領の大統領選候補からの撤退に続き岸田総理も退くことで、韓米日3か国による連携への悪影響が懸念される」と伝えた。中央日報も15日付の社説で、日米ともにリーダーが代わることに言及し、「韓国政府としては両国のリーダシップ後退による代案の用意が急がれる」とした。

「戦後最悪」とまで言われた日韓関係は、岸田首相と尹大統領のもとで一定の改善が進んだ。尹政権は昨年3月、日韓最大の懸案とされた元徴用工訴訟問題の解決策を発表。これを機に関係改善が進み、両首脳による信頼の醸成をきっかけに、日韓両首脳が相互訪問する「シャトル外交」が昨年12年ぶりに再開した。現在は政界のみならず経済、そして民間同士の交流が活発に行われている。

岸田首相の不出馬表明に、韓国外交部(外務省に相当)の当局者は14日、「両国関係の前向きな流れが続くよう努力していきたい」と強調。来年の日韓国交正常化60周年を見据え、首相が交代しても、引き続き関係発展を目指す考えを示した。

こうした中、日本の主要メディアは20日、岸田首相が来月上旬にも訪韓し、尹大統領と会談する方向で検討に入ったと報じた。訪韓すれば、日中韓首脳会談出席のため5月にソウルを訪問して以来となる。NHKは「自身の退任後も韓国を重視する日本の外交方針に変わりはないことを伝え、日韓関係の改善の流れが続くよう道筋をつけたい考えだ」と解説。日本経済新聞は「次期政権でも友好な関係を引き継ぐ狙いがある」と伝えた。共同通信は「来年の日韓国交正常化60年をにらみ、幅広い分野で協力するパートナー関係の維持を申し合わせたい意向だ」と狙いを解説した一方、「韓国内で、新潟県の『佐渡島の金山』の世界文化遺産登録について『日本の歴史歪曲に同調した』との批判が出る中、尹氏が首相訪韓はマイナスだと判断する可能性も否定できない」と伝えた。

日本メディアの報道に、韓国大統領室は当初、「まだ決定事項はない」としていたが、25日には「岸田首相の訪韓を日本と協議中で、決まれば発表する」と説明した。

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