修能は毎年11月に行われる。韓国の大学入試は随時募集と定時募集に分かれる。随時募集は学校生活記録簿、自己紹介書、教師推薦書、面接などの総合評価で選考される。一方、定時募集は修能の成績で選別される。
修能の日ばかりはあらゆる面で受験生が優先される。官公庁や一部企業は出勤時間を遅らせ、ソウルの公共交通機関は地下鉄やバスを増便する対応を取る。また、各地の空港では、リスニングの試験中、航空機の離発着が禁止される。今年も例年同様の措置が取られた。また、遅刻しそうな受験生をバイクの後部座席に乗せ、試験会場まで送るボランティアの姿もあった。
韓国社会は言わずと知れた「超学歴社会」。数ある大学の中でも、ソウル大学、ヨンセ(延世)大学、コリョ(高麗)大学の3校は名門難関大学として社会的評価が高く、アルファベット表記の頭文字を取って「SKY」と呼ばれる。大学卒業後、大企業に就職することを見据え、受験生たちは「SKY」に代表される難関大学を目指す。
また、医学部の人気が高く、その上、来年度からは大学医学部の定員が増員されるため、今年はソウル大医学部の志願者数が昨年から73人(6 %)増、高麗大医学部の志願者数は昨年から235人(13%)増などと、人気に拍車がかかっている。韓国では、特に地方において医師不足が深刻となっている。この問題を解消しようと、韓国政府は今年2月、医学部の入学定員を2000人増やすと発表した。ユン・ソギョル(尹錫悦)政権は、「国民の健康と命を守るため、医師の拡大はもはや遅らせることのできない時代的課題」とし、定員増の必要性を訴えた。しかし、政府の方針が示されるや、医療界は研修医が集団辞職するなどして抗議の意思を示した。これにより、研修医を受け入れている大学病院などでは、通常の診察や手術に遅れが生じるなど影響が広がった。医療現場の混乱は今も解消しきれていない。尹政権は来年については募集人数を約1500人増やすことを決めた。
医学部定員増の方針が影響してか、今年の修能は浪人生が20年ぶりに16万人を超えた。韓国メディアは、通っていた大学を辞めて医学部に挑戦する人もいると指摘している。
一方、修能の国語の試験の問題文中に記載された架空のインターネットアドレスにアクセスすると、尹大統領を糾弾する集会の案内文が一時表示されていたことがわかり、物議を醸している。対話形式の問題文中の最後に記載されたアドレスにアクセスすると、「受験生の皆さん、お疲れ様でした」との一文とともに、尹大統領を糾弾する集会の日時、時間が記載されたページに接続される(現在は閉鎖)。集会は今月16日にソウル市内で実際に行われる予定となっている。
教育部(部は省に相当)は「当該リンクは、出題過程で任意に作成したものであり、当該ウェブページは問題用紙の公開以降に作られたと確認した」とし、警察に捜査を依頼したことを明らかにした。韓国教育課程評価院は、問題文中に出てきたアドレスは架空のものであり、集会とは全く関係がないとし、「修能の出題項目を政治的に悪用したことは遺憾だ」とコメントしている。
捜査に乗り出した警察は、「ハッキングではないとみられ、修能の問題の公開後、何者かが当該ドメインを取得した後、リンク先のページに集会の案内文を掲載したものとみられる」との見方を示した。
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