イ・ジュンソク氏は、ソウル市出身の40歳。2021年6月、国会議員経験がないまま当時36歳の若さで与党「国民の力」の代表に就任し、注目を集めた。2022年の大統領選では、党代表としてユン・ソギョル(尹錫悦)前大統領を支え、尹氏が大統領に勝利したことから李氏は政権与党の代表となった。イ氏はその後、2023年12月に離党と「改革新党」の結成を発表。既存の保革2大政党に不満を持つ層を取り込む「第3極の集合体」をつくろうとした。昨年4月の国会議員を選ぶ総選挙に出馬し、当選を果たした。
今回の大統領選は尹前大統領が罷免(ひめん)されたことを受け行われるが、イ氏は今年2月、尹氏が罷免されて大統領選が実施される場合には「役割を果たす」と述べ、出馬を表明。イ氏はこの時点で39歳だったが、3月に40歳となり、出馬が可能となった。イ氏は当時の会見で、「大韓民国も果敢に世代転換と構造転換を推進すべきだ」とし、40代で米大統領に就任したジョン・F・ケネディ氏やクリントン氏、オバマ氏らの名を挙げ、「変化は果敢な世代交代と共に起こる」と述べた。
先月28日には、ソウルで外国メディアと記者会見し、「40歳で韓国大統領になれれば、アジアの多くの若い世代の力になれるだろう」と語った。日韓関係についても語り、「日本政府が歴史問題で緊張を引き起こすような言動を自制するならば、韓日関係の発展を主導する」と語った。
そのイ氏は、若者や未来世代に向けた政策を進めることを公約に掲げているほか、19の省庁を13省庁に縮小することで、省庁の垣根を越えた対応を実現するとしている。今月12日から公式に選挙運動がスタートしたが、初日にイ氏は、最大野党「共に民主党」の大票田である南西部のチョルラド(全羅道)地域を訪問。若者や未来世代に向けた政策を進めると強調した。
そのイ氏は今月22日発表の「全国指標調査」で前週比3ポイント増の10%となった。トップを独走する李在明氏を避ける一部中道層の受け皿になりつつあることがうかがえる。韓国メディアによると、与党「国民の力」が、イ氏に対し、同党公認候補のキム・ムンス候補との一本化を打診していたことがわかった。報道によると、同党関係者からイ氏側に「党権(党の主導権、すなわち党代表)は差し出すので、一本化しよう」との連絡が頻繁にかかってきているという。
イ氏は22日、一本化について「国会議員選挙で投票してくれた国民の皆さんが私に期待していることは、揺るぎない政治姿勢を貫くことだ。その期待を裏切り、一本化することは全く考えていない」と述べた。また、イ氏は報道陣に対し「一本化に関する質問はもうしないでもらいたい。意味がない」とも語った。
また、民主労働党から出馬しているクォン・ヨングク候補も、このところ存在感を増している。今回の大統領選は昨年12月に非常戒厳を宣言した尹氏が罷免されたことに伴い実施されるが、クォン氏は18日に行われたテレビ討論会で、与党「国民の力」のキム・ムンス候補を痛烈に批判。「内乱首謀者の尹錫悦のせいで行われる選挙なのに、何の資格があって出てきたのか」とし、「(尹氏が)戒厳で経済に刃を突き立て、観光、消費、投資の全ての流れを断ち切ったことを認めるか」と問い詰めた。
討論会での発言ぶりは有権者を引きつけ、終了後、クォン氏が所属する「民主労働党」には、有権者からの応援メッセージが数多く寄せられているという。クォン氏はエンジニア、弁護士出身で、徳島大学への留学経験もある。大統領選の公約には、「尹前政権が崩した中立路線の復元と外交の多角化」「共に生きる経済構造の構築」などを掲げている。
韓国の世論調査機関、リアルメーターが今月20、21の両日に行った大統領選候補者の支持率調査では、李候補が48.1%でトップ。これにキム候補38.6%、イ候補9.4%、クォン候補0.6%などと続いた。
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