
子どもたちが「スキーバカンス」と呼ばれる冬休みとなる2月、全国では様々なイベントが開催されます。
フランス東部の街ベルフォール(Belfort)で開催されたのが国際マリオネット(操り人形)フェスティバル。
こんな小さな町で国際的なイベントが?と思いきや、実際フランスのみならず近隣の国の演者が毎年ベルフォールにやってきて、複数のアトリエや演目が子供たちを魅了しているのです。

そんなイベント開催中、ベルフォールマリオネットシアターの入り口右手の一室には様々な種類のマリオネットたちが展示されていました。
これらはマリオネットを公演する団体が現地やネット経由で手に入れたもの。
説明書きがほとんどないのですが、見ていると年配の男性がやってきてあれこれと説明を始めてくれました。

実はこのお方、ジャン・ポールさんといって、マリオネットに携わり始めて50年という大御所でした。
1981年にマリオネットの団体「Une poignée d’images」(一握りのイメージ)を創設、現在もベルフォールを本拠地としつつ国内外で公演を続けているそう。

そんなジャン・ポールさんは日本のマリオネット、文楽にも造詣の深い素晴らしいパッションの持ち主です。
陳列されている人形たちを見ながら
「これはルーマニアの、これはベトナムのもの、こっちはドイツの警察帽子を被ってるね」
「マリオネットの『マリ』は(聖母)『マリア』からきているんだよ」
「日本の文楽の技法は特殊だよね。大阪に行った時本当に興味深かったよ」
「ベトナムでは水上で龍を舞わせるマリオネットがあったんだ」...etc
そう、文楽はまさにマリオネットということに気付かされました。

ギニョール(指人形タイプのマリオネット)を演じる人たちは、当時の多くの人々同様読み書きができなかった為、世間で起こっていることや人々の会話を見聞きしてマリオネットのセリフを考えたのだとか。
小さなシアターの一室の展示から世界各国の文化のイメージが広がるとは。
ホログラムのマリオネットを空中で手を微妙に動かしながら操る体験は子供も釘付けだったことでしょう。
ジャン・ポールさんはマリオネットの知識の宝庫でした。

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