2025年もフランスでワイン用をメインとするぶどうの収穫が行われました。
作業は他の農作物もそうでしょうが、収穫時期を見極め
「よし今だ」
というタイミングで一斉に取りかかるのです。
そんな超多忙なぶどう収穫時期、実は困った問題が毎年起きています。

早朝、ヴァンダンジュール(vendangeur = ぶどう収穫の労働者)たちがその日の予定の場所にたどり着くと、既にぶどうが他の誰かに収穫された後で、責任者は言葉をなくしてしばし呆然・・・という事件です。
これは特にブルゴーニュで起こりやすいトラブルで、毎年地元の新聞に何件か掲載されます。




なぜブルゴーニュで起こりやすいかというと、ぶどう畑の所有者構成に理由があります。
ブルゴーニュワインといえば世界にその名を知られている有名なワインです。
例えばある一つの区画にぶどう樹が50列並んでいるとすると、そのうちの右から2列は所有者Aのもの、その隣の5列は所有者Bの・・・というように、1つの区画の中で所有者が細かく分かれている畑が複数あるのです。
当然各所有者たちは目印をつけたりしていますし、ぶどう樹を支える支柱や栽培方法なども違ったりします。
ですが忙しい収穫期、ある程度の規模の作り手であれば複数の場所で同時に収穫を展開することがあり、醸造作業の方にも当然責任者の指示が欠かせません。
そうすると必ずしもその作り手の畑の場所をよくよく知る人がぶどう収穫者たちを指揮するわけではない、というケースが出てくるわけです。
その結果、不注意や(残念ながら)その他の理由で別の作り手の列のぶどうを収穫してしまった、という問題が時々起こってしまうのです。




ローカルニュースによると、今回災難にあったブルゴーニュの作り手の一人、パスカル・シャルル氏はこの事態を見つけた時、すぐに
「どなたか心当たりがある人はいるか」
と近隣に呼びかけて回りました。
その結果、過ちに気づいた人から連絡があり、幸運も手伝ってワインにして5万ユーロ分のブドウを取り戻すことができました。
・・・作り手の1年の仕事が報われることを願うばかりです。

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