フランスといえば真っ先にワインが思い浮かぶほど、ワインの生産量・消費量ともに多い国のひとつです。そんなフランスですが、実は何年も前からワインの消費量は減少傾向にあります。OIV(国際ブドウ・ワイン機構)の調査によると、フランスのワイン消費量は年々減ってきているんです。ワインだけでなく、アルコール飲料全体の消費量が、この50年で約60%減少しているそう。




OIVの調査では、2000年のフランスの一人あたりのワイン消費量は約72リットル。それに比べ、2019年は約46リットルにまで減少しています。しかし、他の調査では1年間でアルコール飲料にかける金額にはほとんど差がないことから、アルコールの消費は減っているものの、より値段が高く質のよい物を選んでいると分析されています。

ワインの消費量の減少には、ミレニアル世代と呼ばれる80年代から2000年頃に生まれた若者の嗜好が関係していると考えられています。ベジタリアンやヴィーガンが増えていることからも分かるように、この世代のフランス人は食べるものの質に重点を置く傾向にあります。ワインやアルコール類の摂取はなるべく控え、糖質や脂質の取りすぎに注意するなど、健康に気を使う人が多いのです。

ワインは多くの産地や品種があって奥が深く、そこに惹かれる人も多いですが、ワイン自体に興味がない若者も多いのだそう。日本と比べればフランスではワインの値段は手頃ですが、やはりビールのほうが安くアルコール度数も低いため、気軽に飲めるということもあるのかもしれません。

反対に年配の方はやはりワインを好む方が多く、プレゼントなどにワインを送るのは定番です。若者の消費量は減っても、親へのプレゼントなどで少し高めのワインを選ぶことは多いのではないかなと感じています。

フランスでは「アペロ」と呼ばれる、夕食前に仲間と集まって軽いツマミとともに一杯飲む習慣があります。そこでも、ワイン以外の飲み物を選ぶ人が増えています。食文化としてのワインと健康を重視したライフスタイルの間で、ワインの立ち位置が大きく変化してきています。

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