尹氏が独立運動の式典で演説するのは昨年に続き2回目。日本による植民地支配に抵抗して1919年3月1日に発表された独立宣言について「日本に対し、我々の独立が両国ともに豊かに暮らす道であり、理解と共感に基づき新しい世界を開こうと求めた」と説明した。現在の日韓関係は「痛ましい過去を乗り越え、新しい世界に向かって一緒に進んでいる」とし、「自由、人権、法治の価値を共有して共同の利益を追求し、世界の平和と繁栄のために協力するパートナーになった」と述べた。その上で、昨年計928万人が日韓を往来したことや、武力衝突が起こった中東やアフリカの紛争地域からの自国民救出で日韓両国が協力したことを挙げ、「歴史が残した難しい課題をともに解決していけば、新たな韓日関係の未来を切り開いていける」と述べ、来年で日韓国交正常化から60年となるのを機に、関係をさらに発展させていく考えを示した。昨年に続き、元徴用工問題や慰安婦問題には触れなかった。
尹氏の演説について、与党「国民の力」のパク・ジョンハ首席報道官は「韓国が進むべき未来の道と、韓日関係の飛躍を提示した」と評価した。一方、最大野党「共に民主党」のアン・グィリョン報道官は、「独立運動の精神に対する冒涜(ぼうとく)」と非難。「日本との協力が三・一独立運動の目的であり、精神なのか。尹大統領は一体、学校でどんな歴史を学んだのか」と批判した。
「三・一節」の1日、ソウル市内では大規模な集会やデモが行われた。保守系政党「自由統一党」は20万人(主催者発表、警察の推計では計3万人)が参加して集会を開催。「大韓民国、万歳」「尹錫悦大統領、万歳」などと叫んだ。一方、日本大使館前に設置された慰安婦像の前で、尹政権を糾弾する民間団体もあった。
今年は「三・一節」と土・日曜日をつなげると3連休となり、連休を利用して日本を旅行する人も多かったようだ。韓国紙の朝鮮日報は1日、「三・一節の連休に、日本行き路線の予約率が90%をはるかに上回ったことがわかった」と伝えた。同紙によると、格安航空会社(LCC)のティーウェイ航空の3月1日から3日の東京路線の予約率は94%だった。同じくLCCのイースター航空やジンエアーも連休中、高い予約率となった。
一方、同紙などが先月26、27の両日、20~60代の男女1500人を対象に行った調査で、「三・一節や光復節(独立記念日)に旅行で日本に行くことは『非常識』だと思うか」との質問に、63%が「望ましくない」と回答した。「日本による植民地支配に抵抗して起きた『三・一独立運動』を記念する日に日本旅行とは何事か」という主張だ。一方、「構わない」との回答は37%だった。同紙は「これまでは『MZ世代(ミレニアル世代とZ世代、1980~2000年代生まれ)やその世代に近いほど祝日と関係なく行動する』という見方があったが、今回の調査では世代による差はほとんどなかった。むしろ『三・一節に旅行で日本に行っても構わない』との回答は60代で40%と最も高かった」と解説した。
かつて「三・一節」と言えば、韓国国民の反日感情が一層高まる日であり、日本人がこの日を前後して韓国を旅行することは注意が必要だった。しかし、今や逆に韓国人がこの日を利用して日本を訪れる状況が生まれ始めている。
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