メスのフーバオは、中国の習近平国家主席が中韓の友好の象徴として2016年3月に韓国に貸与したルーバオ(楽宝)とアイバオ(愛宝)の間に2020年7月20日に生まれた。韓国で初めて誕生したジャイアントパンダで、エバーランドは当時、一般に向け名前を募集。5万人の応募があり、同年11月、お披露目とともに「フーバオ(福宝)」と命名されたことが発表された。文字通り、「幸福をもたらしてくれる宝物」との意味が込められた。エバーランドは当時、「フーバオはとても成長が早く、誕生から100日もたたないうちに歯が生え、自分でお座りができるようになった」と声明を発表。韓国国民の関心を惹きつけた。
一般公開されるやフーバオは人気者となり、エバーランドがフーバオの成長を記録するために制作した動画はYouTubeの大人気動画となったほか、フォトエッセイなど関連書籍も出版された。昨年5月にエバーランドで開かれた生後1000日記念イベントには大勢の観覧客が訪れ祝福した。中国メディア、人民日報の当時の記事は、フーバオが2人の飼育員から愛情をたっぷり注がれて育っていると伝えた。また、フーバオの成長を記録したYouTube動画の再生回数が累計で1億回に達したことを紹介。「飼育員から至れり尽くせりの世話を受けているため、ネットユーザーらは親しみを込めて、韓国の『財閥のお嬢様』と呼んでいる」と伝えた。また、2024年に中国に引き渡されることになることを見据え、飼育員はフーバオが中国で不自由しないよう中国語で話しかけていることも紹介した。
韓国国民に愛されたフーバオは、韓国で初めて自然繁殖により生まれたパンダだが、所有権が中国にある。先月3日、中国への引き渡し前、最後となる一般公開日を迎え、エバーランドのパンダ館には、フーバオとの別れを惜しむ数千人の韓国のファンが詰めかけた。
そして今月3日、フーバオが韓国を離れる日を迎えた。エバーランドではフーバオを送り出す行事が開かれ、雨が降る中でも約6000人が集まった。韓国メディアの報道によると、この日は午前4時半ころから入り口前にファンが集まり始め、午前10時の開場時間には既に1000人を超えたという。フーバオを乗せた車がエバーランドを出発すると、ファンからすすり泣く声が漏れ、「フーバオ、さようなら」などと声が飛んだ。
中国に引き渡されたフーバオは、四川省の中国ジャイアントパンダ保護研究センターで新たな生活を始めているが、韓国メディアによると、中国の国営新華社通信が5日に公式SNSで公開した「フーバオの近影」とする写真が韓国のファンの怒りを買っている。一部の写真について、韓国のファンは「これは韓国で撮影された写真だ」と指摘。「私たちがエバーランドで撮られた写真を知らないはずがないがないだろう」と疑問視している。新華社はフーバオが「新しい生活に適応している」として8枚の写真と1本のショート動画を公開したが、いずれも撮影時期や場所などを明らかにしていない。ファンたちからは「私たちのプーバオは元気なの?」と心配する声や、「近況をありのままに知らせてほしい」と訴える声が上がっている。
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