ベロウソフ国防相は先月29日から1泊2日の日程で平壌を訪問し、金総書記と会談した。トランプ次期米大統領がロシアとウクライナの戦闘の早期終結に意欲を見せていることから、今回の会談はこれを見据え、協力を深めて有利な戦況を展開する狙いがあったものとみられている。
会談で金総書記は「米国と西側がウクライナに自国の長距離兵器でロシアを攻撃するようにしたのは直接的な軍事介入」と批判した上で、「ロシアが断固たる措置を取るのは正当防衛の行使になる」と述べ、軍事侵攻は国家の主権と領土を守るためだと主張するロシアの立場を支持した。その上で、両国が批准した包括的戦略パートナーシップ条約に基づき、様々な分野で関係を強化していく考えを示した。同条約は今年6月に、ロシアのプーチン大統領が24年ぶりに北朝鮮を訪れ、金総書記と首脳会談を行った際、両首脳が署名した。23の条項からなり、第4条では集団的自衛権を認める国連憲章と、自国の法律に従い、「どちらか一方が武力侵攻を受け、戦争状態になった場合、遅滞なく保有するすべての手段で軍事的及びその他の援助を提供する」と明記されている。また、8条では「戦争を防止し、地域と国際的な平和と安全を保障するための防衛能力を強化する目的で、共同措置を取るための制度を設ける」などとしている。ロシアが北朝鮮とこの条約を締結した背景には、ウクライナへの軍事侵攻が長期化している中、条約によって北朝鮮との軍事協力を拡大させたい思惑があったとみられている。北朝鮮の朝鮮中央通信は今月5日、同条約が正式に発効したと報じた。韓国の聯合ニュースは「両国関係は事実上の軍事同盟に格上げされたことになる」と伝えた。
また、ベロウソフ国防相は今回、金総書記との今回の会談の中で、首都モスクワの「赤の広場」で開催される対ドイツ戦勝記念の軍事パレードに、北朝鮮軍を招待する考えを示した。また、金総書記は今回、ベロウソフ国防相のために歓迎の公演や宴席を用意し、首脳級のもてなしをした。最近、ロシアと北朝鮮の親密ぶりは際立っているが、今回、それを改めて示した形だ。
ベロウソフ国防相は金総書記との会談に先立ち、ノ・グァンチョル国防相と会談した。「軍事協力を含め、友好関係は急速に拡大している」と両国関係を評価した。北朝鮮はウクライナへの侵攻を続けるロシアを支援するため、武器の提供のほか、兵士を派遣している。米国の経済誌フォーブスは先月30日(現地時間)、北朝鮮はロシアに最新型の240ミリ多連装ロケット砲を含む砲撃システム100基を提供したと報じた。また、ウクライナ国防省の報道官は2日、ロシアによる侵略開始以降、約60発の北朝鮮製弾道ミサイルが使用されたことを明らかにした。報道官は「全体的にミサイルの精度は高くない。製造には時代遅れの技術が用いられている」と説明した一方、「重大な脅威であることに変わりはない」と警戒感を示した。また、派遣された北朝鮮兵の規模について、米韓などは10月以降で1万人を超えるとみている。さらに、前出の報道官は、ロシア・クルスク州に派遣されている約1万1000人の北朝鮮兵のうち、約2000人が戦闘部隊に所属していると明らかにした。報道官の説明によると、兵士たちはロシア軍の海兵旅団と空挺師団に派遣されているという。
また、ベロウソフ国防相と金総書記の会談では、最新の戦況に合わせ、北朝鮮兵の追加派遣などについても協議されたとみられるが、ロシア、北朝鮮の両メディアとも、具体的な協議の中身については報じていない。
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