朝鮮日報によると、ブルームバーグは15日に配信の記事で、世界で計画・提案された原発事業400件余りを分析した結果、韓国はそのうち43%を受注できる位置につけていると伝えた。原子炉を建設できる国や企業が限られる中で、韓国は地理的、政治的に比較的有利だと指摘。「韓国の目立たずとも効率的な原発産業は、東・南海岸を中心に活発で、中国やロシアとの連携を敬遠する西側諸国の注目を集めている」と分析した。
原発輸出はユン・ソギョル(尹錫悦)前大統領が力を入れて推進してきた。尹氏は世界の原発需要の拡大をにらみ、経済的な効果を狙うとともに、尹政権の前のムン・ジェイン(文在寅)政権で低迷した原発産業の復活を試みようとした。2030年までに10基の目標を掲げ、「原発セールス外交」を積極的に展開。昨年9月には、火力発電の割合を減らし、原子力発電の割合を引き上げようとしているチェコを訪問。パベル大統領と原発受注を含む両国の協力強化について議論した。尹氏はパベル氏との当時の会談で、「韓国とチェコが共に建てる原発として、両国の経済成長に寄与する互恵的なプロジェクトになる」と強調した。
チェコは、ドコバニ地域にあるドコバニ原発など4基の建設を推進しており、韓国は同原発の新規建設事業をめぐり、2022年に受注獲得に乗り出した。米ウェスチングハウスとフランス電力公社も受注を目指していたが、韓国水力原子力は価格競争力と工事期間の順守能力をアピール。そして、昨年7月、ドコバニ原発2基の新規建設事業の優先交渉権を得た。
しかし、その過程でライバルだったフランス電力公社が、韓国水力電子力の契約履行能力の不足や、外国補助金規定違反などを問題視。チェコの経済競争保護局に異議申し立てを行った。また、ウェスチングハウスは、韓国水力原子力が知的財産権を侵害しているとして、チェコの反独占規制機関に法的対応と陳情を提起した。
その後、これらの異議申し立てをチェコの経済競争保護局が棄却。韓国は、今月7日にチェコ政府とドコバニ新原発建設のための本契約を結ぶ予定だった。しかし、フランス電力公社は「韓国水力原子力の受注過程に手続き上の問題がある」となおも主張し、チェコ第2の都市、ブルノの地方裁判所に契約締結の執行停止を求める仮処分申請を行った。地裁はフランス電力が提起した本案判決が出るまで、韓国水力原子力と発注会社間の最終契約署名を禁止する仮処分を決定した。
この決定は、本契約目前だった韓国にとって思わぬ事態で、契約式に出席するため、産業通商資源部(部は省に相当)のアン・ドックン長官らは既にチェコに向かっていたが、契約式は中止となった。韓国紙のハンギョレは「入札競争者のフランス電力公社が起こした本案訴訟や、10月のチェコでの総選挙などを考えると、最終契約が無期限に延期される可能性があるとの懸念が高まっている」と報じた。
韓国にとって2009年のアラブ首長国連邦(UAE)のバカラ原発以来、16年ぶりとなる原発輸出を目前にブレーキがかけられることになったが、韓国水力原子力は「チェコの法的手続きを尊重する」と冷静に受け止めており、「最終契約締結に関連する資格と利益を保護するため、チェコ側と積極的に協力し対応する計画だ」とコメントしている。
韓国が今後10年間で最大の原発技術輸出国の一つに浮上する可能性があるとの分析を示した前出のブルームバーグは、2009年のバカラ原発事業の受注と、今回のチェコのドコバニ原発事業契約の延期を比較し、「中東では低賃金の移民労働力を活用することができた。チェコのように現地の高賃金人材を使わなければならないケースには、そのまま当てはまりにくい」と課題も指摘した。
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