<W解説>米朝首脳会談、来年3月実施の可能性が浮上=韓国・国家情報院の見立ては?
<W解説>米朝首脳会談、来年3月実施の可能性が浮上=韓国・国家情報院の見立ては?
韓国の情報機関、国家情報院は、来年3月に実施予定の米韓合同軍事演習後に米朝首脳会談が行われる可能性が高いとの見方を示した。米朝首脳会談をめぐっては、韓国で今月1日まで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせてアジアを歴訪したトランプ米大統領が、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記に「会いたい」と意欲を示していたが、実現しなかった。国家情報院は「金委員長(総書記)は米国と対話する意向があり、今後、条件が整えば米国と接触する」との見方を示した。

トランプ氏と金氏は、トランプ氏が1期目の2018~19年に3回会談した。18年6月のシンガポールでの初会談で、両氏はこれに大枠で合意。しかし、19年2月のハノイでの会談で非核化のプロセスなどをめぐり交渉が決裂した。3回目の首脳会談は19年6月に韓国と北朝鮮の軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)で実施。トランプ氏が現職の米大統領として初めて南北軍事境界線を歩いて越えて北朝鮮に入る場面に、当時、世界が注目したが、以来、米朝首脳は顔を合わせていない。

ことし9月、金氏は平壌のマンスデ(万寿台)議事堂で開かれた最高人民会議(国会に相当)で演説し、「核を放棄させて武装解除させた後に、米国が何をするか、既によく知っている。我々は決して核を手放さない」と非核化の意志が全くないことを改めて強調した。

一方、金氏は、「もし米国が非核化の執念を捨てて、現実を認めるなら、対座しない理由はない」と対話の可能性に含みを持たせた。また、トランプ氏について「私はまだ個人的ないい思い出を持っている」と述べた。

また、ことし7月には、金氏の妹のキム・ヨジョン(金与正)朝鮮労働党副部長が、談話の中で米朝首脳会談の可能性について言及。トランプ氏と金氏との「個人的関係は悪くない」と述べ、会談の可能性に含みを持たせた。一方、「わが国が不可逆的な核保有国の地位と能力を持ち、地政学的環境も根本的に変わった」とし、「米国が現実を受け入れなければ、(米朝)接触は米国の希望に終わる」とも述べ、非核化を前提とした交渉には応じない立場を示した。

トランプ氏もかねてから金氏との4回目の会談に意欲を示している。ことし1月にはFOXニュースのインタビューに、金氏について「私は彼と仲が良かった。彼は賢い男だ」と述べ、「金総書記とまた接触を図るのか」との記者の質問に、「そのつもりだ」と述べた。

トランプ氏は今月1日まで開かれたAPEC首脳会議に合わせてアジアを歴訪した。この際、トランプ氏は「金正恩総書記に会いたい」と語っていたことから、電撃的に米朝首脳会談を行うのではとの見方が広がったが、結局、実施されなかった。トランプ氏は先月29日、日本での3日間の日程を終え、次の訪問国の韓国に向かう際、「北朝鮮とは常に良好な関係を築いてきた。いつかは会うことになるが、(今回は)日程的に非常に厳しい」と述べた。一方、北朝鮮はトランプ氏が韓国から帰国の途に就くまで、終始沈黙を保ち続けた。

韓国の国家情報院は4日、APEC首脳会議に合わせた米朝首脳会談は実現しなかったものの、北朝鮮が水面下で米国との対話に備えていた動向が確認されたと明らかにした。具体的には、9、10月に中国とロシアを訪問したチェ・ソンヒ(崔善姫)外相が、米国との会談の可能性を考慮し、訪問を取りやめるかどうか苦悩していた状況が確認されているという。金氏が外国首脳と会談したり、海外を訪問したりする際は、外交に責任を負う崔氏が同席、同行する。

その上で、国家情報院は「北朝鮮が2026年3月の米韓合同軍事演習後、米朝首脳会談を開催する可能性が高い」との見方を示した。その理由として、北朝鮮が最近、アメリカ国内の国際機関の関係者や北朝鮮政策の実務者、複数の指導層に関する情報を多く蓄積していることなどを挙げている。

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