最近では世界中で日本のカレーライスが「ジャパニーズ カレー」として人気を博しており、ここインドネシアも例外ではありませんが、日本で「ジャワカレー」等と製品名にもなるほど、インドネシアには美味しいカレーがあります。
そもそも「カレー」とは何か?
複数のスパイスを使った煮込み料理を指します。
カレーには無数の種類があり、日本で言うと「煮物」で、煮物にもたくさんの種類があるのと同じですね。
スパイスの歴史は古く、エジプトやメソポタミアの古代都市で儀式やミイラづくり、料理や化粧、医療などに用いられたとの記録があるほか、中国やインドでも用いられてきたといいます。
中世に大航海時代を迎え、ヨーロッパ人たちによってスパイスの価値が高騰。
特に、世界に500種類といわれるスパイスの半数が東南アジア産であることから、ヨーロッパ各国がアジアのスパイス争奪・利権を巡る「スパイス戦争」が巻き起こった歴史もあります。
インドネシアのスパイスが注目されたのもその頃で、マルコポーロ「東方見聞録」に記され、採取されるスパイスの多様性から「スパイスの母」と呼ばれるようになったといいます。
そんなインドネシア独自のカレーに出会おうとすると、意外にも見つかりません。
ローカルのワルンでたずねても「カレー」はないという返事が返ってきます。
ところが、肉や野菜をスパイスで煮込んだり炒めたりしたカレーらしい料理はいくつも並んでいます。
聞くとこれらは「レンダン (Rendang)」や「グライ (Gulai)」という料理なのだそうです。
レンダンはココナッツミルクが入ったもので、グライはスープカレーのような料理です。
こうした、カレー料理を専門的に出す店もあり、「ロティ チャナイ (Roti Canai)」という看板を掲げています。
「ロティ」は「パン」、「チャナイ」は「田舎」、つまり「田舎パン」の店。
この「ロティ チャナイ」の店では、パンと合わせてカレーを食べます。
生地を器用に伸ばしてはおりたたみ、鉄板で焼いたできたてパンと、スパイスで煮込んだカレーの相性は抜群。
曲芸のように淹れた、スパイスの効いた甘いミルクティー「チャイ」と合わせて食すのが定番です。
この「ロティ チャナイ」は、インドネシアの中でもマレー半島に近いエリアの食べ物としてバリ島にやってきており、「マレーカレー」等と呼ぶ人も。
マレーシアやシンガポール、タイなど東南アジアの国々で、さらにインドやネパール、トルコでも似た料理に出会うことがあります。
インドネシアで、何千年も前からの歴史と世界のつながりを感じながら、ぜひスパイスの味わいを楽しんでみるのはいかがでしょう。
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