現地時間14日、アメリカ上院外交委員会の民主党議員らは報告書「後退の代価:アメリカ、グローバルリーダーシップを中国に譲る」の中で、トランプ政権が明確で包括的な戦略を持たずに外交政策を進めていることが、中国が世界的に影響力を広げる道を開き、アメリカの経済や安全保障の利益を損なっていると警告した。
報告書は全91ページにわたり、上院外交委員会の民主党幹事であるジーン・シャヒーン議員の要請に基づいて作成された。内容は、援助機関関係者、専門家、外国の当局者らへのインタビューを通じて構成されている。報告書では、アメリカの対外援助および開発プログラムの遂行能力が弱まり、アメリカが支援する独立系メディアが崩壊し、偽情報に対抗する手段が解体され、民間交流プログラムが断絶し、国際機関からの離脱が続き、さらに同盟国やパートナー国に対する攻撃的な態度などを挙げ、こうした一連のトランプ政権の政策が「アメリカのグローバルリーダーシップと中国に対する競争力を明らかに弱めた」と結論づけた。
また報告書は、トランプ政権の貿易政策がアメリカの同盟国やパートナー国に対して中国との経済協力を模索させる状況を生んでいるとし、今年3月に日本で開かれた日中韓外相会談をその具体例として挙げた。
さらに、トランプ大統領が超党派の支持で制定された「半導体法」の廃止を公に求めたことについては、アメリカがここ数十年で最大規模の自国内製造業とイノベーションへの投資を行った法案を無力化しようとする行為であり、それは中国の利益にしかならないものだと厳しく批判した。この半導体法に関連した投資の中には、韓国や台湾といったアメリカの主要な同盟国やパートナー国の企業も多数含まれている点が強調された。
そのほか、報告書ではUSAID(米国国際開発庁)の廃止、政府機関USAGM(米国グローバルメディア局)傘下の国営メディアであるVOA(ボイス・オブ・アメリカ)やRFA(自由アジア放送)の予算削減、国際機関からの脱退、アメリカの外交公館の縮小、基礎科学研究への支援中止などを、アメリカの国際的な影響力を削ぐ「広範かつ戦略性のない削減措置」と評価している。
報告書はまた、トランプ政権に対し「無謀な関税政策」を中止し、グローバルな人材や人の交流に投資すべきだと勧告した。そして、アメリカの海外支援と開発能力の再建、偽情報への対応能力の回復、多国間機関におけるリーダーシップの再確立、さらにはAUKUS(オーストラリア・イギリス・アメリカ)間の安全保障パートナーシップの強化などを求めている。
シャヒーン議員は、トランプ大統領が同盟国を攻撃し、アメリカの外交的手段を弱体化させ、敵対国を受け入れる姿勢を取るなかで、中国は各地で影響力を築き、関係を拡大させ、自国に有利なように世界秩序を再編しつつあると述べた。そして現在の政権は、中国がもたらす挑戦を深刻に受け止めておらず、それに対応する一貫した戦略も存在しないと強く批判した。
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