1118年に地元ブルゴーニュ出身者、聖ベルナールによって創設されたフォントネ修道院。(Abbaye de Fontenay)
創設時から15世紀頃までは最大200人程の修道僧が農業や、近隣から採掘した鉄による鍛冶屋等を営みながら質素で厳しい規律の下で宗教活動をしていたといいます。
フランス革命時に残っていた修道僧はわずか12人のみ、その後施設は国の所有となりました。
時代が移り変わり製紙所になった時期もありましたが、今はその跡は残っていません。




 施設内を見学していくと、鍛冶のアトリエが見えてきます。
これは2008年に復元されたものです。
透明度の高い水の流れを利用した動力はよく出来たもので、当時の作業の雰囲気が伺えるようです。
またミーティングに使用していたという空間は一辺の壁がないのでほぼ外の気温。
マイナスを大きく下回る冬、話し合いはきっと最短時間で済ますようにしていたことでしょう。




 フォントネ修道院は1981年にユネスコの世界遺産に登録されます。
これは1906年に所有者となったリヨンの銀行家エナード氏が修道院の昔の姿を取り戻そうと、大規模な修復工事を行ったことが大きく関わっているはずです。
そんな気持ちを引き継いでいるのでしょう、現在も庭木や施設内の整然とした佇まいから、よく手入れされていることが分かります。




 ところでユネスコの世界遺産に登録されると、遺産の保有国と国際社会には、それを保護するという任務が生まれます。
そしてその為の資金の出どころはユネスコではないようです。
公私の団体からの援助はあるでしょうが、こうして一般の人々が遺産を訪れ入場料を払うことでも文化遺産の維持に貢献している、と認識して良いでしょう。




 周囲は鳥のさえずりと木々のざわめきのみ。
世俗から切り離されたようなフォントネ修道院の空間は、少しだけ身を清められたような気分にしてくれます。



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