今大会に韓国は選手144人、監督・コーチ118人の計262人を送り込んだ。派遣規模は前回大会よりも大幅に縮小し、1976年のモントリオール大会以降、夏季では最少だった。韓国は今大会の出場を目指すにあたり、団体球技の出場権争いで苦戦。出場した団体球技種目は女子ハンドボールのみだった。団体球技種目の不振が派遣規模の縮小を招いた。
サッカー男子は4月、パリ五輪アジア最終予選を兼ねたU-23(23歳以下)アジア・カップ準々決勝でインドネシアに10-11で敗れ、10大会連続の五輪出場を逃した。当時、韓国メディアは「40年間続いてきた韓国のサッカーの五輪出場が途絶えた」(朝鮮日報)などと、驚きを持ってこの結果を伝えた。
結果を受けて、大韓サッカー協会は公式サイトを通じて謝罪文を発表。「代表チームを育成し支援する私たち大韓サッカー協会に総括的責任があることは十分承知しており、誠に申し訳なく思う」とした上で、「今後の選手や指導者の育成、代表チームの運営体系を綿密に検討し、改善案を見つけ、今回のような失敗が今後繰り返されないように努める」とした。
一方、協会傘下の指導者協会は5月、チョン会長の辞任を要求した。声明を発表し、「低迷中の底辺には目を向けず、代表の成績だけに集中する現指導部の方針で韓国サッカーは後退する一方だ。チョン・モンギュ会長がすべての責任を取り、退任すべきだ。五輪出場失敗は偶然に起きたことではなく、予想された惨事だ。以前から代表監督選任を計画的に行うよう意見を出しているが、会長をはじめ、現執行部はその場しのぎの人選しかしていない。その延長戦でこのような大惨事が起きた」と問題提起した。
パリ五輪で、韓国代表の試合が見られないことになったことも一因となり、韓国国民の今大会に対する序盤の関心は薄かった。先月26日の開会式は地上波3局が生中継したが、視聴率は公共放送KBSが1.4%、MBCが1.0%、SBSが0.6%で、3局合わせても3%と低調だった。韓国メディアのヘラルド経済は「この事態は、オリンピック放送権に巨額を投じた放送局にとって大きな衝撃であり、収支のバランスを取ることが困難になっている」と報じた。同メディアは前回の東京五輪開会式の視聴率と比較した上で、「パリオリンピック開会式で示された最低視聴率は、夜明けという時間帯の問題もあるが、何よりもオリンピックへの関心の低下が大きな理由と指摘されている」と解説した。
そんな中、韓国の代表選手たちはそれぞれの出場競技で熱戦を繰り広げた。韓国の「お家芸」のアーチェリーは5つの金メダルを獲得。五輪女子団体戦10連覇、男子団体戦3連覇、混成戦2連覇という大記録も達成した。6つのメダル(金3、銀3)を獲得した射撃や、2つの金メダルを獲得したフェンシングなども大舞台で最高の結果を出した。連日のメダルラッシュに、当初の関心薄から一転、韓国国内は歓喜に包まれた。
こうした中、大韓サッカー協会のチョン会長がパリを訪れていたことに批判が高まっている。国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長との会談が目的だったという。インファンティーノ会長は7日(現地時間)、SNSを更新し、「私の古い友人であるチョン・モンギュ会長とフランス・パリのFIFAオフィスで会えたことを非常にうれしく思う」などと投稿した。一緒に撮った記念写真も公開した。
これを伝えたヘラルド経済は「韓国のサッカーファンからは批判の声が上がっている。韓国男子サッカーが40年ぶりに五輪出場に失敗したにも関わらず、サッカーの発展のために悩むべき時に、協会長が個人の宣伝活動に走っているとの指摘が出ている」と報じた。
チョン会長はこのほど自叙伝を出版。自叙伝では「私の任期中に成し遂げた業績に対して点数をつけるならば10点満点で8点」などと自画自賛。インファンティーノ会長にはこの自叙伝を贈ったといい、SNSでは「サッカー協会の会長が自分の本の宣伝と写真を撮るためだけにパリまで行ったのか」と五輪の舞台に立てなかった代表チームを引き合いに、皮肉を交えたコメントが相次いでいる。
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