物議を醸しているのは、スペインの食品会社が製造し、現地のスーパーで販売しているキムチソース。瓶のラベルには、日本の着物を着た女性のイラストが描かれている。また、中国・四川省発祥の発酵食品「泡菜(パオツァイ)」の文字がみられる。キムチをめぐる中国語表記をめぐっては、韓国の文化体育観光部(部は省に相当)が2022年7月、「泡菜」との混同を避けるため、「公共の用語の外国語翻訳および表記の指針」を改正し、キムチの正しい中国語表記として「辛奇」を明示した。
キムチソースについて、ネットユーザーから情報提供を受けたソ教授は、「このようなキムチソースが欧州で販売されれば、キムチが日本食と誤解されかねない」、「韓国のキムチと中国の泡菜は明確に異なる」と問題視した。さらにソ氏は、「このように、日本風のイラストや中国語表記を使用する行為は、単なる誤りではなく文化の歪曲(わいきょく)とみなすべきだ」と強調した。
キムチは2021年に国際標準化機構(ISO)により、国際食品規格として登録され、「韓国固有の発酵野菜食品」として認められている。しかし、諸外国では、これまでもキムチが日本食だと誤認されるケースがあった。また、中韓の間では、キムチをめぐる起源論争が度々起こってきた。今年2月には、中国の新興企業「DeepSeek(ディープシーク)」が開発した生成AI(人工知能)が世界で話題を集める中、韓国の国家情報院は、ディープシークへの技術検証を行った結果を発表。ディープシークに、「キムチの原産地はどこか」と韓国語で質問すると、「韓国の文化と歴史が込められた代表的な食べ物」と回答した一方、中国語で同様の質問をすると「原産地は韓国ではなく中国」と答えたことを明らかにした。
また、ドイツの大型マートチェーンでは最近、自社のホームページのレシピコーナーでキムチを「日本キムチ」と紹介した。現地在住の韓国人がソ教授に問題提起した。ソ氏は自身のSNSで、この大型マートについて「売り上げは45兆ウォン(約4兆7500億円)以上で、ドイツの流通市場を代表する超大型マートグループであり、ドイツだけでなくフランス、スペイン、デンマークなど欧州の国々に進出している」と説明。「こうした状況が続けば、欧州の人々もキムチが中国または日本の食べ物であるかのように誤解しかねず、必ず正しい表記に変える必要がある」と強調した。
欧州で相次いでいる、キムチをめぐる誤認を誘発しかねない事態に、ソ氏は背景について「欧州におけるアジアの料理や文化への低い理解度」と「無分別な商業的な利用」を指摘。「Kフードが世界市場で競争力を持つようになったことから、歴史やアイデンティティを伝えることが必要だ」と強調した。その上で「来年からは、欧州を中心とした『韓食グローバル化キャンペーン』を本格的に推進する計画だ」とし、「キムチと韓食のアイデンティティを正しく伝える活動を強化していく」と明らかにした。
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