毎年12月に入る頃、スーパーマーケットの一角は各種のチョコレートがうず高く積まれます。
これはクリスマスや年末にホームパーティーをする際、招かれる側は手土産の1つに
「とりあえずチョコレートは買っておこう」
となるからです。
手土産を買う際は勿論自宅用にも購入。

この、雨後のたけのこも顔負けの勢いで出現するチョコレート売り場の周辺を埋める常連の1つ
がパンデピス。(Pain d’épice)
パンデピスは複数のスパイスとハチミツを練り込んだお菓子で、普段もお菓子コーナーやいくつ
かの地方ではお土産コーナーにもあります。
ですが年末はクリスマスツリーや部屋のデコレーションにも出来るようなスペシャルバージョンが
出るのです。

そしてもう1つの常連はドイツの伝統的なお菓子、シュトーレン。
ドライフルーツたっぷりで密度が高いシュトーレンは表面に粉砂糖がまぶしてあるので冬がとても
似合います。
12月にフランスで見られるこんな恒例のお菓子たちですが、最近ブームとなっているのがイタリ
アのパネトーネ。
シュトーレンよりふわっとした生地のパネトーネが入った箱がフランス国内に全国展開している
スーパーやデパートに、手のひらサイズの可愛らしいものからずっしり1キロのものまで積まれて
いるのです。

ところでもう一つ、「焼き菓子」ではアルザス地方の名物、クグロフがあります。
ですがクグロフはパンデピスやシュトーレン、パネトーネとはちょっとくくりが違うようです。
少なくとも一般のスーパーのクリスマスコーナーに山積みされる光景はあまり見られません。
その理由はどうやら賞味期限にあるようです。

前述のチョコレートやパンデピス等は何ヶ月も日持ちするもの。
ですが贈り物用にクグロフを置いているお菓子屋を見つけて
「どのくらい持つか」と聞いてみると、1軒は
「3〜4日、でもできるだけ早く食べてください」
そしてもう1軒では1週間程先の賞味期限の表示が。




写真のクグロフは、「フランス優秀職人」の称号を得た職人のいる、チョコレートがメインのお菓子
屋さんファブリス・ジロット(Fabrice Gillotte)が新たにオープンした焼き菓子専門の店のもの。
なんでもアルザス出身のパティシエがいるんだとか。
真ん中にくぼみがあり、王冠のような形が特徴のクグロフはクリスマスのお菓子というより「地方
の特産品」のイメージが強いかもしれません。
クリスマスとサン・シルベスター(年末のお祝い)の名脇役を務めるこれらのお菓子たちは、年が
明けて漂う「祭りの後」の空気を和らげ、仕事はじめの現実に向き合うのがちょっとつらい人の気
分を慰めてくれます。
因みに運が良ければクリスマス休暇の前から既にこれら名脇役たちのおすそ分けが職場の休憩
スペースにちらほら登場することも。

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