報道の自由度ランキングは、RSFが2002年から毎年1回発表している指数。RSFは世界180の国と地域を対象に調査を行い、各国における報道の自由度を「良い」、「良好」、「問題あり」、「悪い」、「非常に悪い」の5段階で評価した。韓国は62位で、「良好」だった前回より15段階順位を落とし、「問題あり」の評価となった。RSFは韓国について「コミュニケーション技術のフロントランナー」で「言論の自由と多元主義を尊重する自由民主主義国家」と評価した一方、「伝統と企業の利害関係により、メディア関係者が監視者としての役割をしっかり果たせていないケースもままある」とした。また、「韓国のジャーナリストは時々オンラインで炎上の被害者になったりもする。しかし、これに対する保護はほとんどなされていない」とも指摘した。
同ランキングで、韓国はノ・ムヒョン(盧武鉉)政権時代の2006年に過去最高となる31位となったが、イ・ミョンバク(李明博)政権時代の2009年に69位まで下落。パク・クネ(朴槿恵)政権時代の2016年には過去最悪の70位となった。ムン・ジェイン(文在寅)政権時代の2018~2022年は41~43位を推移し、昨年は47位、そして今年は前述のように大幅に順位を下げて62位となった。
今回の調査で、1位はノルウェーで、2位にはデンマークが入った。最下位はアフリカのエリトリアだった。その他の国では、米国が55位、日本が70位、当局による検閲が厳しい中国は172位、北朝鮮は177位、そして、ウクライナ侵攻を続けるロシアは162位だった。日本は前回(68位)より順位を下げ、主要7か国(G7)の中では最下位。RSFは日本の状況について「伝統の重みや経済的利益、政治的圧力、男女の不平等が、反権力としてのジャーナリストの役割を頻繁に妨げている」と批判した。また、記者クラブについて「記者らの自己検閲や、外国人記者に対する差別に繋がっている」と指摘した。さらに、世界的傾向について「国際社会で記者を保護する政治的思想が欠如している」と批判した。
62位となった韓国の今年の結果について、韓国紙のハンギョレは「今回の指標は、ユン・ソギョル(尹錫悦)政権2年目の2023年に対する評価だ」とした上で、「昨年、韓国では尹大統領と政府関係者に疑惑を提起した報道機関や記者に対する家宅捜索など強制捜査が相次いだ」と指摘。昨年5月に、当時の法相の個人情報流出疑惑の捜査で、大手韓国メディアのMBC(文化放送)の記者が家宅捜索を受けたことや、9月にソウル中央地検において大統領名誉棄損特別捜査チームが設置され、放送局のケーブル局のJTBCや全国紙キョンヒャン(京郷)新聞などの社屋、所属記者の自宅に捜索が入ったことなどを例に挙げた。ハンギョレは「報道機関に対する、捜査機関を動員した政権の圧力は、今回の指標にそのまま反映された」と指摘した。
最近でも、韓国のメディアが「報道の自由を侵害された」と反発する問題が起きている。在中韓国大使館が、韓国メディアの特派員を対象に「24時間前の取材許可制」を導入する方針を発表したのだ。特派員が大使館を取材する場合、少なくとも24時間前に取材の目的、人数などを申請することを求める内容で、大使館は申請を検討した上で大使館への入館の可否を決めるとした。特派員らは「報道の自由を侵害し、国民の『知る権利』を深刻に阻害する行為」との声明を出して反発した。結局、大使館側は今月6日、この方針を撤回したが、この一件は、韓国の報道の自由度は「問題あり」とするRSFの指摘を裏付ける形となったと言える。
Copyright(C) wowneta.jp