上空5500メートル付近で、マイナス39度以下の強い寒気を伴った低気圧が通過した影響で、韓国では26日夜から27日にかけて、首都圏(ソウル市、京畿道、仁川市)を中心に雪が降った。ソウルを含めた首都圏と北東部のカンウォンド(江原道)、中部のチュンチョンド(忠清道)、南西部のチョルラド(全羅道)の内陸を中心に、一時、大雪警報・注意報も発令された。ソウル市は昨年より10日遅い初雪となり、20センチを超える大雪に。1907年10月に同市で近代的な気象観測を開始して以降、11月としては最高の積雪を記録した。これまでの最高は、1972年11月28日の12.4センチだった。市は約9700人体制で除雪作業にあたった。
行政安全部(部は省に相当)は27日、大雪の危機警報のレベルを4段階の下から2番目の「注意」からその上の「警戒」に引き上げ、中央災難(災害)安全対策本部の非常対応レベルは第2段階に引き上げられた。イ・サンミン本部長(行政安全部長官)は「今年初の降雪であり、夜間に多くの雪が降ったことから、除雪作業を徹底して行ってほしい」と呼び掛け、道路の凍結や出退勤時間帯の交通の混雑、歩行中の事故などを防ぐための安全措置を徹底するよう求めた。韓国の聯合ニュースによると、同本部は、関係機関や自治体などに対し、また、警報・注意報が発令された地域では、不要不急の外出や移動の自粛が呼びかけられた。
交通機関にも影響が出て、27日朝は首都圏の鉄道の駅は大混雑。インチョン(仁川)空港やキンポ(金浦)空港では欠航や遅延が相次いだ。聯合によると、仁川空港から札幌行きのアシアナ空港に搭乗予定だった客の一人は取材に、「午前9時10分に離陸する予定だったが天候が悪化し、機体の除雪作業に1時間かかると機長からアナウンスがあった」と説明した。また、各地で事故も起きており、ソウルと江原道・ヤンヤンを結ぶ高速道路では27日午前、車5台が絡む玉突き事故が発生し、1人が死亡した。
一方、韓国は今夏、記録的な猛暑に見舞われた。ソウルでは今年初の猛暑注意報の発令が6月と早く、その後、7月、8月と連日暑い日が続いた。残暑も長く、中秋節「チュソク(秋夕)」の連休も各地で厳しい猛暑に。ソウルでは連休中の9月15日、昼の最高気温が32度に達し、これまでで最も遅い猛暑注意報が出された。
韓国のケミョン(啓明)大学環境工学科のキム・ヘドン教授は、今年の厳しい暑さを6月の段階で「今夏の気温は40度を超える」などと予測していた。実際、8月4日、京畿道・ヨジュ地域では気温が40度を記録。韓国で40度台の気温が観測されたのは2019年以来、5年ぶりのことだった。
見事に的中させたキム教授は10月、今冬の気温について「非常に寒くなるだろう」と予測している。キム氏は当時、11月初めまでは暑さが続くとの見通しも示しており、同月下旬を迎えた今、これはまたもズバリ的中したと言える。
前述のように、ソウルは27日、この冬の厳冬を予感させるかのように、11月としては観測史上最大の積雪を記録した。今冬についてキム教授は「氷点下18度を下回った2021年や2022年の冬と同じパターンになる可能性が高い」との見方を示しており、今後の気象状況が気になるところだ。
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