<W解説>9日にロシアで対ドイツ戦勝記念軍事パレード、同盟関係の北朝鮮から軍はなぜ参加しない?
<W解説>9日にロシアで対ドイツ戦勝記念軍事パレード、同盟関係の北朝鮮から軍はなぜ参加しない?
ロシアの首都、モスクワで今月9日に行われる予定の第2次世界大戦の対ドイツ戦勝80周年記念式典の軍事パレードに、北朝鮮軍が参加しない見通しとなった。ロシアのウシャコフ大統領補佐官が6日、同軍兵士の不参加を明言した。ロシアは同軍を早い段階から招待。昨年11月に訪朝したベロウソフ国防相も参加を要請していた。ロ朝は軍事協力を強めており、キム・ジョンウン(金正恩)総書記の訪ロの可能性も含め、北朝鮮側の対応が注目されていた。金氏の参加も見送られたとみられ、北朝鮮側からは大使が式典に出席する。

第2次大戦で約2700万人の死者を出したソ連(現・ロシア)は毎年5月9日を対ドイツ戦勝記念日としており、ロシアのプーチン政権は最重要の祝日に位置付けている。今年は戦後80年の節目となり、モスクワの「赤の広場」で行われる式典や軍事パレードには、ロシアによるウクライナ侵略後最多となる25か国以上の外国首脳らが出席する見通しで、参加国は戦後70年の2015年並みの水準になるとみられている。ロシアメディアは、中国の習近平国家主席、ブラジルのルラ大統領、ベトナムの最高指導者トー・ラム共産党書記長、旧ソ連諸国の首脳らが式典に参加すると伝えている。今年は、軍事パレードの規模も拡大するとみられており、今月3日には、モスクワでパレードの予行演習が行われた。

ロシアによるウクライナ侵攻が続いているが、ロシアのプーチン大統領は戦勝記念日に合わせ、モスクワ時間の8日午前0時(日本時間同日午前6時)から11日午前0時まで72時間の停戦を一方的に決めた。この決定に、ウクライナのゼレンスキー大統領は反発している。ロシアがウクライナ軍の攻撃を警戒する中、ウクライナ軍のドローン(無人機)がロシアを攻撃。ロシア国防省は6日、ロシア各地で5日夜から6日朝にかけてドローンを撃墜したと発表した。ドローンが飛来した地域は南西部のブリャンスク州やクルスク州、モスクワ周辺など広範囲に及んでおり、5日夜~6日夜にかけてロシア側が撃墜したドローンは200機を超えている。ロシアメディアによると、モスクワでは一時、全ての空港が閉鎖された。米CNNがモスクワのソビジャン市長の話として伝えたところによると、深刻な被害や死傷者の報告は今のところ寄せられていないが、撃墜されたドローンの残骸が主要幹線道路に落下しているのが確認されたという。

こうした中、対ドイツ戦勝80周年の記念式典や軍事パレードに参加するため、各国の首脳らが続々とロシア入りしている。軍事パレードには中国など、13か国の軍隊が参加する予定だが、ロシアが軍事協力を強めている北朝鮮の朝鮮人民軍は参加しない見通しだ。

昨年6月、ロシアのプーチン氏は24年ぶりに北朝鮮を訪れ、北朝鮮の金総書記と会談した。この際、両首脳は、ロシアと北朝鮮のどちらか一方が戦争状態になった際、軍事的な援助を提供することなどを明記した「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名した。ロシア政府は先月26日(現地時間)、ロシア南西部クルスク州でのウクライナとの戦闘に、北朝鮮兵士が参加していたと初めて公式に認めた。北朝鮮も同28日、ロシアによるウクライナ侵攻を支援するため、金総書記の命令でロシアに派兵していることを明らかにした。

こうした中、北朝鮮が対ドイツ戦勝記念式典の軍事パレードへの兵士参加を見送ったのはなぜなのか。朝日新聞は「他の参加国に配慮した可能性がある」と伝えた。また、今回の式典に金総書記が参加するのかにも注目が集まっていたが、ロシアの大統領補佐官が6日に発表した参加者の中に金氏は含まれておらず、見送られたとみられている。これについて、産経新聞は「多数の首脳陣が集まる行事への出席に金氏が慣れていないことや、北朝鮮と中国との関係がぎくしゃくしていることが要因となった可能性がある」との見方を伝えた。
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