殻ごとバケツに入った山盛りのムール貝にポテトフライの取り合わせ、「ムール・フリット」。
ムール・フリットは、とある調査でフランス人が好む料理の第2位なのだとか。
スタンダードなスタイルはムール・マリニエールという、白ワインをベースにした蒸し煮です。
そしてポテトフライの太さや揚げ具合はレストランによって異なり、これも好みのムール・フリットとなるかどうかの大事な判断材料。

このムール・フリットという料理はベルギーが発祥だというのが通説です。
ですがなにかと一言物申すのが好きなフランスはここでも主張することを忘れていません。
諸説あるでしょうが、ブリュッセル出身のムール・フリットの老舗チェーンレストラン「Léon 」のサイトで紹介されているベルギー発祥説とフランス説を見てみましょう。
まずはフリット、つまりフライドポテトの部分について。

〇ベルギー発祥説
フリットは17世紀半ばにナミュール(Namur)という街で誕生した、という伝説が語り継がれています。
何でも寒い冬は魚がなかったのでジャガイモを魚の形にして揚げて食べていたとか。
〇フランス発祥説
まずフランス革命(1789年)後にパリのポン・ヌフ橋で行商人がフライドポテトを売っていた、そして1794年にメリゴ夫人が出版したレシピ本にフライドポテトが載っている、という文献的観点からの証拠を挙げています。

そしてムール・フリットという料理の本家についてはベルギーのリエージュとフランス北部の町リールとの対決です。

〇ベルギー発祥説
場所はベルギーの町リエージュのとある遊園地。
1838年からドイツ出身のフレデリック・クリーガーが、故郷で馴染みだったムールとポテトフライの組み合わせを売り出したところ大盛況に。
彼の死後、あとを継いだ夫人がこの料理を遊園地の名物にしたのが1875年のことだとか。
〇フランス発祥説
そしてフランスの町リール(Lille)バージョンは
15世紀頃からこの街で大きなブラドリー(街頭大ワゴンセール)がある時、既に鶏肉に代わってムール貝がスタンドでが売られていました。
その数世紀後にポテトフライと合わせてムール・フリットが登場するのです。
以来現在に至るまで、ムール・フリットは9月の最初の週末に開かれるリールのブラドリーに欠かせない存在となりました。
そんな熱い逸話を持つムール・フリット、ムール・マリニエールの他にも様々な味付けを楽しめます。




写真はとあるブラスリーで本日のランチに出ていたオリエンタルソースバージョン。
カレー風味のスパイスが入ったサラッとしたソースです。
コクがあるのがお好みなら生クリームやチーズ入りソースがおすすめ。
ムール貝の殻をピンセットを持つ要領で持ち、もう一方の片手に取ったムールの身をつまみ出して食べましょう。

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